中国本土と香港の往来全面再開に伴い、越境物流も回復の見通し

(中国、香港、マカオ)

広州発

2023年02月07日

中国国務院香港・マカオ事務弁公室は2月3日、中国本土と香港、マカオとの往来を2月6日から全面的に再開すると発表した。中国本土では、新型コロナウイルス対策に伴う入境者への集中隔離は1月から撤廃されていたが(2022年12月28日記事2023年1月10日記事参照)、今回の発表により、香港との往来の人数上限が撤廃されたほか、香港から中国本土への入境について事前のPCR検査が不要となった(2023年2月7日記事参照)。また、中国本土から香港、マカオへの団体旅行も再開された(注)。

往来の全面再開に伴い、中国本土と香港間の越境輸送に関わる防疫規制もさらに緩和された。1月の往来再開時点では、香港とマカオから入境者に対して、入境前48時間以内のPCR検査の陰性結果を税関健康申告書に記入する必要が残されており、これが中国本土~香港間の越境輸送を担う事業者にとって負担となっていた。ジェトロが現地進出日系物流企業にヒアリングしたところ、2月3日時点では、春節(旧正月)休暇を挟んだこともあり、1日当たりの越境トラック台数は新型コロナウイルス流行前(2019年)の水準と比較すると、5~6割程度にとどまっているが、今回の全面再開発表により、新型コロナ流行前の水準に戻ると予測しているという。

広東省は、2023年のGRP成長率目標値を5%以上と掲げた。今回、香港との往来が全面的に再開した中で、同省の地方政府は香港での企業誘致活動も本格的に再開している。2月8日には広東省政府、13日には広州市政府、16日には東莞市政府が外資や香港企業を対象とした投資誘致イベントを香港で相次いで計画。ジェトロが2月3日に広東省投資促進局関係者に話を聞いたところ、「香港は、広東省にとって広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)をともに形成する重要なパートナーであり、多くの外資系企業が香港に地域統括拠点を置いている。今回の投資関連のイベントは大湾区の連携強化の一歩であり、広東省への投資を促進するきっかけとなることを期待する」と述べた。

(注)中国はその他、20カ国への中国公民の団体旅行についても、2月6日から再開した(2023年1月31日記事参照)。

(田中琳大郎)

(中国、香港、マカオ)

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