2022年第4四半期のGDP成長率はマイナス4.2%、通年ではマイナス3.5%
(香港)
香港発
2023年02月08日
香港特別行政区政府統計処は2月1日、2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(速報値)を前年同期比でマイナス4.2%と発表した(添付資料図参照)。4四半期連続のマイナス成長となったが、マイナス幅は前期から0.4ポイント改善した。
同期のGDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は前年同期比1.7%増と、前期(マイナス0.4%)から改善したほか、政府消費支出も9.1%増で、前期(5.3%)から3.8ポイント上昇。固定資本形成はマイナス11.2%となったが、前期(マイナス14.4%)からマイナス幅は3.2ポイント改善した。貿易は、新型コロナウイルスの防疫措置緩和によって域外との人的往来が回復に向かう中で、サービス輸出(2.3%増)、サービス輸入(2.1%増)とも前期から上昇した。他方、財輸出(マイナス24.8%)、財輸入(マイナス22.8%)は、いずれも前期からマイナス幅が拡大した。
また、香港政府統計処は、2022年通年の実質GDP成長率をマイナス3.5%と発表した。2021年(6.4%)から9.9ポイント低下した。
2022年通年を需要項目別にみると、政府消費支出は8.1%増と、前年(5.9%)から2.2ポイント上昇。個人消費支出はマイナス1.1%で、前年(5.6%)から6.7ポイント低下。固定資本形成もマイナス8.5%で、2021年(8.3%)から16.8ポイント低下した。また、財輸出はマイナス13.9%、財輸入もマイナス13.1%と、いずれも前年(財輸出18.7%、財輸入17.2%増)から大幅に低下した。サービス輸出はマイナス0.8%、サービス輸入はマイナス1.4%だった。
2023年の香港経済は回復の見通し
香港政府報道官は2022年の香港経済について「輸出は、外部環境の急激な悪化と、中国本土と香港間の陸路による越境輸送の混乱を受けて急減。内需は、年初から新型コロナウイルス感染拡大の第5波(注)による影響を受け、その後は金融引き締めにより押し下げられた。しかし、第2四半期(4~6月)以降は、域内の感染状況の安定化に伴って各種防疫措置が徐々に緩和される中で、労働市場の改善などにより、個人消費が回復した」と振り返った。その上で、同報道官は2023年の香港経済は回復に向かうと予測。「先進国経済の成長鈍化が引き続き香港の財輸出に課題をもたらし得る」と指摘しつつ、プラス要因として、中国経済の早期回復が見込まれる点や、越境輸送の制限緩和、入境者に対する隔離検疫措置の撤廃や中国本土との間の往来正常化を受けたインバウンド観光の回復見込みなどを挙げた。
なお、香港政府は2月22日の2023~2024年度の予算案の公表時に合わせて、2022年第4四半期と2022年通年の実質GDP成長率の詳細と2023年のGDP予測値を公表する。
(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降と11月下旬、2021年12月末以降の域内感染拡大をそれぞれ「第3波」「第4波」「第5波」と呼んでいる。
(松浦広子)
(香港)
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