米フォード、テスラに続きEVを値下げ

(米国)

シカゴ発

2023年02月02日

米国自動車大手フォードは1月30日、同社のスポーツ用多目的車(SUV)型の電気自動車(EV)「マスタングMach-E」の増産と値下げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新しいEVサプライチェーンの稼動に伴って大幅な増産が可能になることで、顧客の待ち時間を短縮し、価格を下げ、市場競争力を維持することができるとしている。同社は、2023年は前年の7万7,959台より67%多い13万台の「マスタングMach-E」を世界で生産する計画をしており(1月30日オートモーティブ・ニュース)、元の価格より900ドルから最大5,900ドルの値下げを行う。

フォードモデルeのマリン・ジャヤ最高顧客責任者(CCO)は「フォードの使命の1つは、顧客を家族のように扱うことであり、『マスタング Mach-E』を選択したことは正しい判断だったと顧客に知っていただきたい」と述べた。

今回の価格改定は、急速に変化する市場で同社のSUVの競争力を維持すると同時に、EV事業の規模拡大を図る計画の一環として行われた。価格改定後の同モデルのメーカー希望小売価格(配送代や税金、手数料などを除く)は、装備によって約4万6,000~6万4,000ドルとなる。

フォードによるEVの値下げは、米国のEV販売台数を牽引するテスラが1月12日に発表した最大20%という大幅な値下げに続くものだ。テスラは同社の4モデルの全てを値下げし、価格がGMやフォードの既存のEV、または販売予定のEVと同じ価格帯になる車種もあるため、EVの価格競争が始まったとの見方もある。なお、フォードの「マスタング Mach-E」は、テスラのベストセラーのSUV型EV「モデルY」(メーカー小売希望価格は約5万3,000~5万7,000ドル、オプションを除く、2月1日時点)と競合する。

テスラの値下げは、同社の自動車価格を調べるためにオンラインアクセスが急増するなど、消費者に購入予定のEVモデルの再考を促しており、今後もさらに競合他社に値下げ圧力がかかることが予想される。

(星野香織)

(米国)

ビジネス短信 908f91a0d0a57a2c