バイデン米大統領が飛行物体撃墜で記者会見、謝罪せずも習国家主席との対話実現に期待

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年02月17日

米国のジョー・バイデン大統領は2月16日、同月前半に相次いで撃墜した、米国とカナダ上空を通過した無人飛行物体に関して記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。

米国が2月以降に撃墜した飛行物体は合計4体となる。そのうち最初の1体は中国製の偵察気球だったことが判明しており、両国関係の緊張化につながった。バイデン政権は予定されていたアントニー・ブリンケン国務長官の訪中を延期し、同気球に関わったとされる中国企業などを輸出管理対象に追加するなど対抗措置を取った(2023年2月13日記事参照)。米国連邦議会も上院、下院それぞれで中国を非難する決議を全会一致で可決している。これに対し、中国は報復措置として2月16日、米国防衛大手のロッキード・マーティン、レイセオン・テクノロジーズを「信頼できないエンティティー・リスト」に追加しており、両国間の応酬が続いている(注)。

バイデン大統領は記者会見で、「われわれは中国との衝突ではなく、競争を模索していく」とし、従来からの方針を保つ意向をあらためて強調しつつも、気球の撃墜については「(中国に)謝罪はしない」と断言した。また、中国との対話ラインを開放しておく重要性を指摘し、習近平国家主席との対話が実現することに期待を示した。2月17~19日にドイツで開催されるミュンヘン安全保障会議でブリンケン長官と王毅・共産党中央政治局委員が緊張緩和に向けた会談の場を設けられるかが見どころと報じるメディアもある(アクシオス2月16日)。

バイデン大統領は中国製気球以外の3体については、現時点では詳細が不明で中国との関連は確認できないとした。今後について、無人飛行物体の探知能力の向上や、それらの米国上空に向けた打ち上げなどに関する規則の制定、国際ルールの形成に取り組むとした。

(注)ただし、直接的な理由は両社による台湾への武器売却となっている。

(磯部真一)

(米国、中国)

ビジネス短信 7d52329a53107925