米ミネソタ州、2040年までに州内電力会社に100%カーボンフリーの電力供給を義務付けへ
(米国)
シカゴ発
2023年02月13日
米国ミネソタ州のティム・ウォルツ州知事(民主党)は2月7日、2040年までに、一定の条件下で、100%カーボンフリーの電力供給を州内の電力会社に義務付ける法案に署名した。同法は、同州での温室効果ガス(GHG)排出削減や、クリーンエネルギー関連の新規雇用創出などを目的としており、州内の電力会社が顧客に対し、太陽光や風力、水力などのカーボンフリーの資源から発電または調達した電力を一定の割合で供給する基準を定めている。具体的には、2030年にミネソタ州の公共事業向けの電力小売売上高の80%に相当する量から開始し、2040年までに100%に到達させることを目標にしている。
今回の法案成立を支持しているエクセルエナジー(本社:ミネソタ州ミネアポリス)は、2050年までに供給電力の全てをカーボンフリーにするという目標を掲げているが、新法によってこの目標が10年前倒しされることとなる。同州の発表によると、州内の電気事業者は既にカーボンフリーエネルギーの電力供給に向けて大きく前進しており、2005年から2020年までに二酸化炭素(CO2)排出量を54%減少させたとしている。
新法には、化石燃料を利用した発電所が廃止またはその予定がある州内の地域に対し、電力会社が新しい発電施設を設置することで、地域の雇用を最大化するプロジェクトを奨励する内容なども盛り込まれている。また、電力会社に対して、化石燃料を完全に廃止せずに基準を満たす例外措置なども含まれている。
一方、同州に隣接するノースダコタ州のダグ・バーガム州知事(共和党)を委員長とするノースダコタ州産業委員会は2月6日、同法に異議を唱える訴訟の提起について全会一致で支持を表明した。ノースダコタ州の電力会社が石炭やガスで発電した電力をミネソタ州に供給することができなくなれば、経済的な損失を被る可能性があるだけでなく、ノースダコタ州の電力会社による炭素回収技術の効果的な導入の妨げになることが主な理由だ。ノースダコタ褐炭エネルギー協議会によると、同州は電力供給の約50%を州外へ供給しており、大部分はミネソタ州で使用されているという(「ビスマルク・トリビューン」紙電子版2月6日)。
(星野香織)
(米国)
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