大統領府、住宅向け公共サービスの管理権限行使できる法案発表、関連団体は反発

(コロンビア)

ボゴタ発

2023年02月14日

コロンビア大統領府は2月6日、住宅向け公共サービス事業管理で大統領府が権限を行使できる法令案を公表した。具体的には、エネルギー・ガス規制委員会(CREG)と飲料水・衛生規制委員会(CRA)で、大統領府がこれら電気やガス、上下水のいわゆるライフラインの管理権限を保持できるようになる。グスタボ・ペトロ大統領は法令案公表に先立ち、1月27日に自身のツイッターで「今後一定期間、私が直接、住宅向け公共サービスの管理全般の方針を決める」と述べていた。

CREGとCRAは、公共サービスの管理と規制を目的として1994年に設立された独立した行政機関。市場競争を促して独占を規制する役割に加え、サービス料金の設定や、サービス範囲の拡大、コスト削減のための企業の合併指示、補助金交付の条件設定などの権限を持つ。議会で法案が成立した場合、大統領の独断でこれらの権限を行使することができるようになる。今回の法令案には、公共サービスに関する規制発令に関し、情報開示と市民参加を保証することや、経済効率や中立性、透明性、連帯や再配分を基準とする料金体系を取り入れることも明記した。

ペトロ大統領の発表を受け、関連団体からは反発や不安の声が上がっている。さまざまな業界団体から成る全国産業組合評議会は、現在の制度的枠組みを維持しなければ、持続可能な公共サービスの提供と市場の競争をリスクに陥れることになると述べ、サービスの課題に対し、政府と共同で取り組む意思を表明した。

同評議会によると、全国の公共サービスカバー率は、電気97%、飲料水93%、ガス67%となっており、この30年で大幅に拡大している。一方、農村部では基本的な公共サービスにアクセスできない地域もあり、このような地域への対応やサービスの質向上について、評議会は現在の制度を維持しながら、政府と協力して取り組むことが可能だと訴えている。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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