模倣品対策の強化、第一三共ヘルスケアが正規品の拡大を促進

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2023年02月03日

ベトナムでは、日本ブランドの人気が高く、日本製品の模倣品の流通が課題となっている。日本企業はジェトロなどの政府機関と連携しつつ、ベトナム当局を介して模倣品の摘発も進めているが、企業独自の取り組みも見られる。例えば、医薬品メーカー大手の第一三共ヘルスケアは2022年12月20日、ベトナムで同社の薬用化粧品の正規販売を開始した。模倣品が出回る中、正規販売による自社商品の健全な流通を確保し、販売の拡大を目指す。

同社が本薬用化粧品の正規販売を展開するのは、中国とベトナムの2カ国目となる。正規代理店を介することで、模倣品対策に力を入れるとともに、消費者のニーズ調査や積極的なマーケティング活動を行う予定だ。同日には、ホーチミン市内で発売イベントを開催し、日系企業を含むベトナム国内の小売事業者が参加した。

イベントの中で、同社の菊地功国際部長は「このたび販売を開始する薬用化粧品ブランドは、ベトナムで約40%の認知率がある一方で、模倣品の存在も確認され、大きな課題だった。正規品の販売は最も重要な模倣品対策でもあり、今後、認知拡大とブランドの育成に尽力したい」と抱負を述べた。また、同社担当者は、商品の案内とともに、ベトナム当局との連携を通じた模倣品の摘発や、当局職員向けに真贋(しんがん)判定ポイントをレクチャーするセミナーへの協力など、模倣品流通に対する取り組みについて紹介した。

正規販売代理店となったベトナム地場企業は「これまではハンドキャリーで持ち込まれる非正規流通品のほかに、別の国で製造された製品に中身がすり替えられたケースもあり、消費者にとっても企業にとっても望ましくない状況だった」と述べた。同社担当者は、販売での模倣品対策として、公安省認証済み正規品シールや二次元バーコードを活用した真正品の判別方法について説明した。

今後のベトナム市場における消費者のスキンケア知識向上サポートや認知拡大を図るマーケティング戦略についても紹介があった。店頭販売のほかに、大手ECサイトのティキ(Tiki)やショッピーモール(Shopee Mall)、ラズモール(LazMall)などでも販売される予定だ。

写真 発売イベントの様子(ジェトロ撮影)

発売イベントの様子(ジェトロ撮影)

写真 発売イベントの会場の様子(第一三共ヘルスケア提供)

発売イベントの会場の様子(第一三共ヘルスケア提供)

(阿部浩明、児玉良平)

(ベトナム、日本)

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