英政府、クリーンな海事技術の開発に向けた資金提供を発表

(英国)

ロンドン発

2023年02月27日

英国政府は2月15日、クリーンな海事技術の開発に向け、6,000万ポンド(約97億2,000万円、1ポンド=約162円)を出資することを発表した。水素、アンモニア、電力、風力などを用いたクリーン海事技術の開発支援へ、クリーン海事実証コンペティションの第3ラウンド(CMDC3)で採択された企業に対して出資する。

投資期間は2年。支援を受ける企業はそれぞれのプロジェクトが現実世界で機能することを実証する必要がある。

支援を受ける主な企業とプロジェクトの内容は以下のとおり。

  • アルテミス・テクノロジーズ(Artemis Technologies):モータースポーツなどで用いられる技術で水面上を「飛ぶ」船舶を開発。
  • コリンズ・リバー・エンタープライズ(Collins River Enterprises):テムズ川を渡る完全電動フェリーを開発。
  • エイスオン・バッテリー・ソーラー・テクノロジー(AceOn Battery Solar Technology):乗組員を洋上風力発電所へ運ぶための水素で動く船舶を開発。
  • ウイングテック(WingTek):ハイテク帆を備えた風力アシスト船のプロトタイプを開発。

CMDCは、運輸省が2022年3月に設立した英国排出削減船舶局(UK SHORE)によるイニシアチブ。UK SHOREは、CMDCを含む包括的な研究開発プログラムを実施し、業界団体とともに造船需給に関する問題に取り組み、よりグリーンな船舶を建造するとしている。

また、UK SHOREは2月、商業化に近い技術レベルのプロジェクトを支援するため、ゼロ排出船舶インフラコンペティション(ZEVI)をイノベートUKと共同で実施することを発表。2025年3月までに7,700万ポンドの研究資金を提供するとしている。対象となる技術は、電力船舶と充電設備、陸上電源、代替燃料と燃料補給、ゼロ排出フェリー、省エネルギー技術などが含まれている。

さらに、UK SHOREは同じく2月に、工学・物理科学研究評議会(EPSRC)と共同で、英国クリーン海事研究ハブ設立に向けたコンペティションに740万ポンドを割り当てると発表。ハブは2023年9月から2027年3月まで、クリーンな海事技術の研究に取り組む。

(レイナー・あや)

(英国)

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