米移民局、2023~2026年度の組織目標公表

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月03日

米国移民局(USCIS)は1月27日、2023~2026会計年度(注1)の組織目標や目的をまとめた報告書(戦略計画)を公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

報告では、2023~2026会計年度の戦略目標として次の3つを掲げた。

(1)米国の法定移民制度を強化する。

(2)労働力へ投資する。

(3)効果的・効率的な管理とスチュワードシップを推進する。

(1)では、法定の移民制度にアクセスしやすくするために、合法な経路を促進する移民政策を整備し、申請手続きへの障壁を最小限に抑えて公平性を促進するとした。また、利用者のために組織を現代化し、企業がオンライン上で各ビザの申請状況を確認できるシステム「E-Verify」や労働資格証明書(I-9)の利便性を改善するとしている。そのほか、需要に応えるために人員を増やし、テクノロジーを活用して処理を改革するとした。また、不正行為と国家安全保障の解決プロセスを改善し、不正や偽造のリスクを削減するために、移民関連の文書やオンライン上のフォームを再構築するとしている。

(2)では、組織全体の戦略的採用計画を立て、研修機会を拡大・現代化し、従業員定着のために技術やツールを改善するとした。また、職場や就業時間に柔軟性を持たせ、インクルーシブで多様性のある意思決定を推奨するとした。

(3)では、複数年度にわたる予算計画を実施することや、人材採用の際のコンサルティングを強化し、人材確保のための審査の合理化を図ることを挙げている。また、ITのインフラを現代化し、従業員のユーザーエクスペリエンスの向上に向けて、紙文書を電子化にするための統一化された戦略を構築するとした。

なお、2022年度に掲げた5つの優先事項は、(1)移民局の財政安定化と管理強化、(2)雇用増加とスタッフの意欲向上、(3)移民局審査の効率化促進、(4)人道的使命の遂行、(5)公的関与の強化と顧客サービスの向上だった。また、今回の報告書では、2022年度の達成事項として、100万人以上に市民権を付与したことや、8万2,000人以上のウクライナ人とその家族を臨時入国させたことなどを挙げた(注2)。

(注1)米国の会計年度は10月~翌年9月。

(注2)2022年度は単年度の戦略計画を掲げていたが、その前の戦略計画は2019~2021会計年度にわたるものPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)だった。

(吉田奈津絵)

(米国)

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