国際農業開発基金、セネガル農村支援でスタートアップ企業と連携
(セネガル、南アフリカ共和国)
アビジャン発
2023年02月20日
国際農業開発基金(IFAD)は2月2日、セネガル農村部の貧困層の重要な収入源となっている国外移民労働者からの送金を少額手数料で、迅速かつ安全に行う金融サービスの実現に向けた官民パートナーシップを発表した。
IFADはEUとの協調融資プログラム「プライム・アフリカ・イニシアチブ」を通じて、セネガルのフィンテック系スタートアップのインタッチ(InTouch)や、同国最大級の電子マネー「Orange Money」を発行するフランス通信大手オレンジ(Orange)と提携し、金融サービスの未整備地域などに、インタッチのサービスと連動させたOrange Moneyの正規取扱店(キオスク)を多数配置する。これにより、セネガルとフランス間の移民送金については、その約3分の1が同サービスの恩恵を受けることができると見込まれている。
IFADはまた、アフリカ最大の決済プラットフォームを提供する南アフリカ共和国のフィンテック企業MFSアフリカとも提携する。MFSアフリカは、セネガル国内の民間企業や電子マネー事業者、送金事業者、金融機関、小売店舗をアフリカ35カ国の4億人以上に提供するモバイルウォレットと相互接続させるほか、Orange Moneyを通じてインタッチの移民送金サービスとも連携することで、プロジェクトの相乗効果を生み出す考えだ。
IFADの国別分析データによると、2019年のセネガル系移民労働者(ディアスポラ)は推定65万人から200万人で、セネガルの総人口の4~12%を占めるとみられている。国別では、隣国ガンビアが移民全体の21%と最も多く、次いでフランス(20%)、イタリア(16%)、スペイン(8%)、米国(7%)で、移民の約半数が欧米諸国に在住している。また、ディアスポラによる本国向け送金額は25億ドルに上り、GDPの10%を占めている。
(安藤真由美、水野大輔)
(セネガル、南アフリカ共和国)
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