米船級協会、ABS規格でカリフォルニア大学の水素燃料調査船を建造と発表
(米国)
ヒューストン発
2023年02月16日
米国の船級協会のアメリカン・ビューロー・オブ・シッピング(ABS、本社:テキサス州スプリング)は2月14日、カリフォルニア大学サンディエゴ校のスクリップス海洋研究所の水素燃料研究船をABS船級に基づく規格で建造すると発表した。船級協会が定める規格に合格し、船級を取得することで、保険や売買の際に有利な扱いを受けることができる。
発表によると、船舶海洋工学のコンサルタントを担う米国のグロステンが設計した同船は、水素燃料電池と従来のディーゼル発電機を組み合わせた新しい水素ハイブリッド推進システムを搭載し、ゼロエミッション運航を可能にする。設計では、通常の調査ミッションの75%を水素燃料で運航可能という。
全長150フィート(約46メートル)の同船は、最先端の機器やセンサーシステム、最先端の研究室を装備し、学際的な研究を可能にし、カリフォルニアの沿岸海洋で起こっている物理的・生物的プロセスの理解を深めることができるとしている。
ABSのクリストファー・ウェルニッキ会長・社長兼最高経営責任者(CEO)は「ABSは、海洋の理解に大きく貢献する可能性を秘めたこのプロジェクトで、これらのパートナーとともに、船舶燃料としての水素の技術開発を先導できることを誇りに思う」「このプロジェクトは、新たな分野を開拓し、海洋で有望な代替燃料の能力を実証するものとして、業界から注目されるだろう」と述べた。
ABSは米国で脱炭素化の取り組みを進めており、2022年8月に米国エネルギー省(DOE)から、先進的原子炉の商船への利用促進に向けた課題調査のため、80万ドルの契約を受託したと発表した(2022年8月19日記事参照)。
(沖本憲司)
(米国)
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