ドイツのスタートアップ、欧州で初の公道での遠隔運転による無人走行に成功

(ドイツ)

ベルリン発

2023年02月17日

ドイツのスタートアップで遠隔運転技術のバイ・テクノロジー(Vay Technology)は2月6日、欧州で初の公道での遠隔運転による無人走行に成功したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の公道での試験走行は、202212月にハンブルク市(州に相当)当局から無人走行の許可を取得し、あらかじめ設定されたルートで行われたもの。

バイ・テクノロジーはベルリンに本社を置き、顧客がアプリから安価に電気自動車(EV)の配車を依頼できるドア・ツー・ドアのモビリティーサービスの構築を目指している。具体的には、専門の訓練を受けた運転手「テレドライバー」がハンブルクにあるテレドライブステーションから、車載カメラの映像や音声から交通状況を把握しながら遠隔運転を行う。遠隔操作で車両を利用客のもとに配車、利用客は自らの運転で目的地に向かい、目的地からは再びテレドライバーが運転を引き継ぐ。駐車場探しの時間と手間が省略できる(同社によるサービス紹介映像外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。コスト面では、カーシェアリングと同程度の価格帯とすることで、長期的には自家用車の代替となる利便性の高いサービス提供を狙う。

バイのトーマス・フォン・デア・オーエ最高経営責任者(CEO)兼共同創業者は「遠隔運転のリーディングカンパニーとして、われわれは3年以上前から、ベルリンとハンブルクの公道で車両に運転者を同乗させながら遠隔操作を行う試運転を行ってきた。202212月にハンブルク市当局から許可を取得し、今回初めて公道での無人走行に成功した」とこれまでの経緯を説明するとともに、「新たな技術の利用が法的に可能になったという観点で、これは重要なステップであり、ドイツは遠隔運転技術で世界をリードする飛躍的な進歩を遂げているところだ」と述べた。

ハンブルク市のアニェス・チャークス運輸・モビリティー変革相は「バイの遠隔運転サービスは、駐車場探しの必要をなくし、排ガスを出さず、オンラインで予約でき、バス停や駅から自宅までの『ラスト・マイル』の移動手段を提供するという付加価値を創出する」と期待を寄せた。

(中村容子、小川いづみ)

(ドイツ)

ビジネス短信 2688ee8855bfd70b