世界最大のカシューナッツ生産国、現地加工率の向上が課題

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年02月14日

コートジボワールで23日、新収穫年度〔2023年度(20232月~20241月)〕の出荷が開始された。政府は生産者最低買い上げ価格を1キログラム当たり315CFAフラン(約63円、1CFAフラン=約0.2円)に設定し、前年度の305CFAフランから10CFAフラン引き上げた。2023年度の生産量は105万トンに達する見通しで、国内加工量は生産量の29%に当たる約30万トンになると見込まれている。

コートジボワールは世界最大のカシューナッツ(未加工)生産・輸出国。同国の輸出総額のうちカシューナッツは7%を占めるなど、カカオに次ぐ輸出農産品だ。政府はカシューナッツを「戦略商品」に位置づけ、2025年までに加工率を5割に引き上げる目標を掲げている。国内加工の促進に向けた具体的な取り組みとして、政府は加工事業者に税制優遇措置などを施すとともに、2022年末には「北部地域アグロインダストリー振興プロジェクト(2PAI NORD)」に着手している。

コベナン・クアシ・アジュマニ農業・農村開発相は記者会見で、2022年度のカシューナッツ生産量が前年度比6%増の1028,172トン、未加工カシューナッツ輸出量が同11%減の719,900トンとなったと発表した。主な輸出先はカシューナッツの国内加工量で12位を占めるベトナムとインドだった。コートジボワールのカシューナッツ国内加工量は生産量の21.8%に当たる224,036トンで、ベトナムとインドに次ぐ水準となっている。また、全国で40万戸を数えるカシューナッツ農家の所得は3,630CFAフランとなり、前年度比7%増加した。

コートジボワール国内の加工事業者は大手のオラム、アイボリー・カシューナッツ、SITAなどで、全国に27カ所の工場を数える。2022年7月には、シンガポールのロイヤルナッツ(Royal Nuts Pte Ltd)が中部地方に造成されたトゥモディ工業団地に2,300万ユーロを投じて、年間加工能力5万トンの工場を稼働した。これにより、国内のカシューナッツ加工能力は2022年末時点で年間413,000トンとなっている。2023年にはさらに2工場が稼働予定で、加工能力は年間442,000トンに達するとみられる。

(野澤俊明、渡辺久美子)

(コートジボワール)

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