北米3カ国首脳、域内のクリーンエネルギー推進とバリューチェーン構築の方策協議

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2023年01月16日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領と、米国のジョー・バイデン大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相は110日、メキシコ市で北米3カ国首脳会合を行い、北米地域でのクリーンエネルギー推進と同バリューチェーン構築の方策、移民問題などについて議論した。

会合後の共同記者会見で、バイデン大統領は「北米地域をクリーンエネルギー大国にし、気候変動に関するグローバルリーダーとなることにコミットする」と発言した。具体的には、北米をクリーンエネルギーを強力に推し進める地域とするために、ゼロエミッション車の推進や国境を越えた互換性のある充電ステーションの建設に協力する。

トルドー首相は「重要な鉱物から電気自動車、半導体に至るまで、北米地域で信頼できるバリューチェーンを構築する方法について議論した」と述べ、「水素を含むクリーンエネルギーやゼロエミッションなど、クリーンな経済を構築する取り組みを通じて、経済のレジリエンスをさらに高めることができ、それは労働者とビジネス双方にとって大きなチャンス」と語った。

AMLO大統領は、中国やアジアからの輸入品増加に対して「メキシコ、米国、カナダ政府は合同委員会を設立することに合意し、中国・アジア地域からの輸入計画に基づいて代替生産を推進し、域内のさらなる自給自足を促し、米州大陸の全ての国の発展、協力、福祉の実現を目指す」と述べた。合同委員会内には3カ国からそれぞれ4人の計12人で専門家グループを構成し、メキシコから同委員会の代表にマルセロ・エブラル外相、ラケル・ブエンロストロ経済相ら4人を提案するとAMLO大統領は説明した。

移民問題については「他の問題と同様に広範囲な議論が行われ、国民の利益のために3カ国で重要な合意に達した」と発言し、最後に、カナダが25,000人のメキシコ人に対して一時的就労ビザを付与したことに言及し、トルドー首相に感謝を述べた。

また、3カ国首脳は、多様性・平等・社会包摂、気候変動と環境対策、競争力強化、移民と開発、保健・衛生、北米地域の安全・災害対策、将来のビジョンに関する共同宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択した。

メキシコのエネルギー政策に関する議論は3首脳会談では語られず

一方で、注目を集めていた米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)におけるメキシコのエネルギー政策に対する紛争解決パネル設置要請についての議論は3カ国首脳会談では行われなかった。エブラル外相は「エネルギー分野の問題は、既にUSMCAの枠組みの中で交渉過程にあり、3カ国の外相で合意した、あるいは合意しようとしたことについて、3カ国首脳会談で議論することはあってはならない」と述べ、3カ国首脳がこの議論を首脳会談に持ち込まないことに合意したことを伝えた(「レフォルマ」110日)。

(阿部眞弘)

(メキシコ、米国、カナダ)

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