広州市、サービス業の外資参入規制を緩和

(中国)

広州発

2023年01月16日

中国商務部は1月10日、「広州市サービス業拡大開放総合試点全体方案」(注1)を発表した(文書は2022年12月29日付)。同市での今後3年間の試験運用を経て、サービス業の開放に向けた新たな枠組みを形成し、中国全土のサービス業の開放や革新的な発展に向けたモデル地域としての役割を発揮することを発展目標として掲げた。同方案には、外資系企業に対するサービス業参入規制の緩和措置が多く盛り込まれている。主な緩和措置は以下のとおり。

1.ビジネスサービス分野

  • 社会調査事業に対する外資の参入を認める。ただし、中国資本の比率が67%以上、かつ法定代表人は中国国籍を持つ必要がある。
  • 広州市に設立され、かつ関連条件を満たす外商投資旅行会社が海外旅行事業(台湾を除く)を取り扱うことを支持する。

2.金融サービス分野

  • 関連条件に合致する外資の金融機関が広州市に証券会社や基金(ファンド)管理会社、先物取引会社を設立または株式保有することを支持し、外資系金融機関が経営範囲を拡大することを支持する。
  • 関連条件に合致する外商独資企業が私募ファンドの管理者となる申請を行うことを支持する。また、関連条件に合致する私募証券投資ファンド管理会社が公募ファンド管理会社へ転換するための申請を行うことを支持する。
  • 関連条件に合致する多国籍企業が独資の財務会社(注2)を設立することを支持する。

3.通信サービス分野

  • 外資系企業に対して国内VPN(注3)業務を開放し(ただし、出資比率は50%以下)、国外の通信事業者の進出を誘致。広州市内の外資系企業に向けて国内VPN業務を提供する。
  • 広州市で情報サービス業務(ただし、アプリストアのみ、オンライン出版を含まず)、ネット接続サービス業務など増値(付加価値)通信業務での外資の出資比率規制を撤廃する。

4.文化サービス分野

  • 国外の投資家による娯楽施設・公演施設・公演仲介機関の設立や、国外の芸術文化団体、個人による営利目的の公演への参加などに対する審査・承認権限を広州市に付与する。

広州市商務局の発表によると、広州市の2021年サービス業の増加値(付加価値額)は2兆203億元(約38兆3,857億円、1元=約19円)で、同市の域内総生産(GRP)の71.6%を占め、市レベルの値としては広東省で第1位、全国では第3位となった。

(注1)国務院は12月24日、広州市と、瀋陽市、南京市、杭州市、武漢市、成都市の合計6都市のサービス業の拡大開放総合試験プロジェクト実施を承認したと発表した(文書は12月3日付)。

(注2)企業グループの資金集中管理の強化と企業グループの資金使用効率の向上を目的として、企業グループのメンバー単位に金融サービスを提供する非銀行金融機関。

(注3)インターネット上に仮想的に構築したプライベートネットワーク。

(汪涵芷)

(中国)

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