中国からの来訪者に対する新型コロナ水際措置を強化せず

(シンガポール)

シンガポール発

2023年01月06日

シンガポール保健省は2022年12月30日、中国からの来訪者に対して現行の感染防止策を適用する方針を明らかにした。その上で、同省は、国外の感染動向や、シンガポール国内の医療体制の対応動向などを注視しており、必要であれば特定の国に対して水際措置を再導入する用意があると述べた。中国が2023年1月8日から入国時の隔離措置の撤廃など感染対策を緩和するのを受け、日本や米国など一部の国では中国からの来訪者に対して水際措置を強化している。

保健省によると、2022年12月30日時点で中国からの来訪者は1日当たり700~1,000人(航空便の全来訪者の約1.0~1.5%)で、その多くがシンガポール在住の中国人で長期ビザ保有者もしくはシンガポール国民(永住権者を含む)だ。これら中国からの来訪者のうち、新型コロナウイルスの感染者は1週間当たり40~80人で、1人を除き全員が軽症だという。

シンガポールでは、2023年1月4日までの7日間の1日当たり新規感染者数は670人(7日間移動平均)。前週比の感染者数の増加率を示す実効再生産数は0.92と、感染が拡大していることを示す「1」を下回っている。1月4日時点の入院者は72人で、100人を下回る状況が続いている。

同国では現在(2023年1月5日時点)、海外からの来訪者は全員、入国前に健康状態を申告する必要がある。ただし、ワクチン接種完了者であれば入国前、および入国後の検査や隔離の必要がない。一方、ワクチン未接種者については、出発日2日前以内に検査を受け、陰性である必要がある。また、未接種者は少なくとも3万シンガポール・ドル(約297万円、Sドル、1Sドル=約99円)の医療補償をする旅行保険の購入が義務付けられている(注)。保健省は今後、全体の公衆衛生状況を考慮した上で、中国との航空便の増便については慎重に対応する方針を示した。

(注)ワクチン接種完了者の定義および最新の水際対策についてはシンガポール移民局(ICA)の入国情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのページを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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