2022年電動車販売台数は新車全体の1.6%、年率倍増ペースの維持には課題も

(チリ)

サンティアゴ発

2023年01月23日

チリ全国自動車産業協会(ANAC)によると、2022年の電動車(注)販売台数は、前年比2.1倍の6,904台となり、過去最高を記録した(添付資料表1参照)。ANACは、国内で取り扱っている電動車モデルの増加や、消費者の省エネ志向の高まりを販売増の要因として分析している。

ANACは、2022年の電動車販売台数は過去最高を記録したものの、いまだ国内の新車販売市場の1.6%にすぎないと述べている。その上で、販売促進のためには、住宅や公共の充電インフラの開発、発電・送電・配電の主要プレーヤーとの連携強化、購入者へのインセンティブの付与、高価な電動車に課されている奢侈(しゃし)税の廃止、特定の電動車製造国を対象とした既存の輸入関税の撤廃などが必要と指摘している。さらにANACは、これらを導入した場合の国内電動車市場の展望について、2025年に向けて毎年約2倍ずつ販売台数が増加するとの予想を発表している。

2022年の電動車販売台数を種類別にみると、販売が最も多かったのはマイルドハイブリッド車(MHEV)(2,583台)で、前年比3.7倍となった。前年にはなかった吉利汽車のスポーツ用多目的車(SUV)「AZKARRA」(631台)、ラムのピックアップ「RAM 1500」(417台)の販売開始が台数の増加に直結した(添付資料表2参照)。

ハイブリッド車(HV)の販売台数は前年比42.1%増の2,552台で、ブランド別ではトヨタがシェアの8割を占めた(添付資料表3参照)。販売モデルのトップ3は、トヨタの「CAROLLA CROSS」(1,553台)、同「RAV4」(301台)、フォードの「NEW ESCAPE」(182台)で、いずれもSUVだった。

電気自動車(EV)の販売台数は1,295台で、前年比で2.3倍に増加した。ブランド別ではマクサス、プジョー、DSの順で、これら3ブランドのみでEV市場シェアの約5割を占めた(添付資料表4参照)。

プラグインハイブリッド車(PHEV)は前年比58.0%増の474台で、欧州ブランドがほとんどを占めた(添付資料表5参照)。

タイプ別でみると、電動車販売台数全体のうち73.1%がSUVで、続いて乗用車(シェア:13.6%)、ピックアップ(7.2%)、商用車(5.9%)の順だった。チリにおける新車販売の傾向としてSUVの人気が挙げられるが、電動車の場合、その傾向がさらに顕著にみられた。

(注)ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、マイルドハイブリッド(MHEV)のことを指す。

(岡戸美澪)

(チリ)

ビジネス短信 d8cec0d4fd43eb04