共通通貨の検討作業部会設置へ、脱ドル依存と信用保証による輸出代金回収リスク回避手段を検討

(ブラジル、アルゼンチン、メルコスール)

米州課

2023年01月25日

ブラジルとアルゼンチン両国大統領が発表した共通通貨の創設検討(2023年1月25日記事参照)に関連して、ブラジル財務省はガブリエル・ガリポロ財務次官による補足説明を1月24日付プレスリリースで公開した。同補足説明の要旨は以下のとおり。

(1)両国の共同宣言書簡には共通通貨創設を検討する作業部会を設置することを明記している。両大統領は中央銀行を担うメカニズムを含め、金融統合を深め、一時的な外貨不足を緩和するためのメカニズムについて検討を開始することに合意した。

(2)共通通貨は両国の現行通貨であるレアルとペソ通貨に取って代わるものではないため、ユーロのモデルと異なる。

(3)アルゼンチンは自国のインフレ高進で自国通貨ペソの国際市場での交換が難しく、世界の基軸通貨で為替準備通貨であるドルは、同国の国際取引を制限する可能性がある。

また、両国間の貿易が、同貿易に関与していない第三国の金融政策による影響で制限されることは理にかなっていない。この問題を克服する解決策を探している。

(4)共通通貨のアイデアはドルへのペソの受容性に依存することなく、国際取引の当事者間での外貨不足を補うために両国市場に最終決済手段をつくり上げること。ブラジル輸出業者はペソが交換できず輸出代金を受け取れない問題があり、ブラジルからアルゼンチンへの輸出に対する信用を保証する仕組み「輸出保証基金(FGE)を使用して民間銀行と公的機関から信用枠を保証する方法」を検討している。それには、ユニット・オブ・アカウント(価値尺度)と交換手段が必要だ。共通通貨は両国の取引の最終決済を行う。これをドル通貨で行うと、常に米国の金融政策に左右される。

(5)中国は、アルゼンチンでの中国製品の輸入に対してファイナンスすることで、アルゼンチンに外貨不足の解決策を提案してきた。ブラジルは、アルゼンチンの外貨不足による失地(本来ブラジルが行うべき輸出の減少)を回復すべく解決策を検討している。

(大久保敦)

(ブラジル、アルゼンチン、メルコスール)

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