北京市など9省・自治区・直轄市を内外貿易一体化の試行地域として推進
(中国)
北京発
2023年01月20日
中国商務部の1月12日の定例記者会見で、「内外貿易(国内取引と対外貿易)一体化に向けた試行地域リストの発表に関する通知」(2022年12月8日公布)に言及した。商務部など14部門制定の同通知では、北京市や上海市など9つの省・自治区・直轄市(注1)を国内取引と対外貿易の一体化に向けた試行地域に指定しており、商務部の束珏婷報道官は「国内取引と対外貿易の一体化の推進は、共産党中央委員会と国務院が示した重要な決定と施策だ。一体化のモデル事業の実施は重要な施策の一環として、重点分野などの改革・イノベーションを促進し、展開可能な体験とモデルを形成し、全国の模範となる役割を果たす」と強調した。ちなみに、試行地域の発表は、商務部の2022年5月9日発表の「内外貿易の一体化発展に向けた取り組みの試行に関する通知」
を受けたものだ。
束報道官はその上で、今後は試行地域で対内取引と対外貿易を一体的に経営する一群の企業の育成や、対内取引と対外貿易を融合的に発展させるプラットフォームの構築、国際競争力を持つ産業クラスターの形成、市場主体(注2)が対内取引と対外貿易を一体的に経営する中で直面する実務上の問題の解決、展開可能な体験とモデルの形成などに注力する方針を明確に示した。
通知では、試行地域の商務主管部門は他部門とともに試行に関する業務の連絡体制を構築し、任務と責任分担を決め、関連支援策や業務手段を精緻化し、タイムテーブルとロードマップを策定する必要があるとした(注3)。
また、有識者は試行地域の発表について、国内取引と対外貿易の一体化が強大な国内市場の形成と「双循環」(注4)の円滑な実施に資するとの見解を示した(「中国日報」1月12日)。
(注1)両市のほか、江蘇省、浙江省(寧波市を含む)、福建省(アモイ市を含む)、湖南省、広東省(深セン市を含む)、重慶市、新疆ウイグル自治区が挙げられている。
(注2)中国内で営利を目的とした経営を行う自然人、法人、非法人組織の総称。
(注3)財政面で省政府を経由せず、中央政府の管理を直接受ける計画単列都市(今回指定の地域では、福建省アモイ市、浙江省寧波市、広東省深セン市が該当)は、現地の実情に応じて独自に試行プランを策定・実施できる。
(注4)「双循環」は、2020年4月の中国共産党中央経済委員会第7回会議で習近平総書記(国家主席)が「国内大循環を主体とし、国内と国際の2つの循環が相互に促進する新たな発展局面」として提起したとされる概念。同年10月採択の「第14次5カ年(2021~2025年)規画と2035年までの長期目標」では、「双循環」は「内需と外需、輸入と輸出、対内投資と対外投資の協調的発展により、国際協力・競争の新たな優位性を育成する」としている。
(趙薇)
(中国)
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