経済団体調査、人材とコスト上昇が課題に

(シンガポール)

シンガポール発

2023年01月11日

シンガポールの経済団体シンガポールビジネス連盟(SBF)は1月10日、2022~2023年度の全国ビジネス調査(NBS)の結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。人材やコスト上昇の課題に直面している企業の割合が高いことなどが明らかとなった。

人材関連の課題に直面する企業の割合は96%に上った。人材関連の課題のうち、「人件費の上昇」(75%)と回答した割合が最大で、「若年労働者の誘致および/または維持」(51%)、「新しい外国人労働者政策(就労査証発給の基準となる給与水準の引き上げなど)によるコスト上昇」(48%)が続いた。

コスト上昇に直面する企業の割合は66%に上った。コストが上昇している分野では、「賃金」(79%)と回答した割合が最大で、「物流」(52%)、「価格転嫁」(48%)、「調達」(48%)、が続いた。

ビジネストランスフォーメーションの推進、ESGへの取り組み

直面している課題のほかには、自社におけるビジネストランスフォーメーション(業務改革)の重要性を尋ねる質問には、「非常に重要」と回答した割合が64%に上った。「ある程度重要」(32%)と回答した割合と合わせると96%に上った。

また、環境・社会・ガバナンス(ESG)については、75%の企業が少なくとも1つは取り組んでいると回答した。取り組んでいる内容としては、「従業員の健康と安全」(81%)との回答割合が最も高く、「従業員への公正で公平な支払いと報奨方針」(71%)、「ガバナンス、リスク、コンプライアンスの文書化、監視、報告」(57%)、「企業報告の透明性」(57%)が続いた。

今後取り組む分野では、「サプライチェーンにおける持続可能性の向上」(45%)が最も高く、「ビジネスにおける包括性と多様性」(43%)、「サプライチェーンのリスクの軽減」(43%)が続いた。

今回のNBSは2022年8月29日から11月23日にかけて実施され、931社からの回答があった。うち、73%が中小企業、27%が大企業だった。景況感、ビジネスリスク、直面している課題、優先事項、トランスフォーメーション・イノベーション、政府予算および支援、国際事業、ESGを調査した。

(注)報告書も公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

ビジネス短信 abb0d260f43b36b3