新会社法が1月19日から施行

(サウジアラビア)

リヤド発

2023年01月19日

サウジアラビアで119日から新会社法が施行された。同法は2022628日に閣議決定したもの。政府が進める国家改革「ビジョン2030」に沿った内容で、大手法律事務所などの専門家は国際基準により適合した内容と評価している。具体的には、企業が事業を進める際、これまで存在したさまざまな規制や制限を緩和するとともに、選択肢の増加を通じて柔軟な対応をしやすくなるというものだ。

外国企業の事業活動へ影響が大きい変更点を紹介する。

まず、会社設立時の選択肢として、新たに「簡易株式会社」(SJSC)を追加した(第4条)。SJSCでは、最低1人での法人設立や、複数の種類株式の発行、統治に関して1人や複数人、または取締役会によるものなどの選択肢を示し、企業統治(ガバナンス)の柔軟化を認めた。上述した専門家はスタートアップ企業のほか、投資事業を実施する際の受け皿会社(特別目的会社など)、非営利団体の法人化などで利用されると予想する。会社設立以外にも、事業活動、解散・倒産に関する制限も緩和した。

サウジアラビア国内に多く存在する同族会社の扱いに関しても見直した。新法では、ガバナンスと管理方針、同族メンバーの雇用、同族会社の利益を規制するため、定款に法的拘束力のある契約条項や家族憲章を導入することが可能になった。

また、円滑な事業再編を促すため、企業結合・分割に関する規定も改定した。例えば、第181条では、会社の定款で資本金の90%以上を代表する1人以上の株主の承認があれば、大株主は少数株主に対して、会社の全株式を同じ価格・条件で購入するという善意の買い手からの申し出を受け入れるよう求めることができる一方、少数株主は、大株主が保有株式を売却する決定をする場合、同じ価格・条件で売却することを保証するよう大株主に求めることができる。このほか、資産処分の簡素化、ストックオプション制度の導入も認めた。

(秋山士郎)

(サウジアラビア)

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