全国の両替代理店を閉鎖へ

(ラオス)

ビエンチャン発

2023年01月18日

ラオス中央銀行は1月13日付で「商業銀行の両替代理店の両替事業の許可停止に関する中央銀行告示(No.01/BOL)」を発布し、全国113の両替代理店の両替サービスを停止すると発表した。今回の通達により全国の全ての商業銀行の両替代理店が閉鎖することになる(注1)。

ラオスでは2021年7月に現地通貨キープの下落を止めることを目的に、両替店を商業銀行の代理店とする政策を進めていた(2021年9月24日記事参照)。ブンルア・シンサイボラボン中銀総裁の12月の国会報告によると、全国に550あった両替店のうち、2021年9月には419店が商業銀行の両替代理店となったが、その後、違反店舗など300店舗以上のライセンスを取り消したと説明していた。

現地の商業銀行関係者は「銀行代理店となった後も両替店は法律を厳守しない取引が続き、商業銀行による管理も困難な状況にあったことから、今回の強硬な措置に踏み切った。今後は市中の両替サービスは主に商業銀行が担うことになるだろう」と説明する。

なお、中銀はこれに先立つ12月28日付で「外貨両替サービスに関する中央銀行合意(No.1026/BOL)」を発布し、両替サービスは原則として商業銀行が実施し(第4条)、法人で両替店舗を出店するには商業銀行と契約を行い、場所はホテルや国際空港、ドライポートなどに限定する(第8条)と定めており、今後も商業銀行以外の法人による両替サービスの提供は新たに許可を得た上で限定的に可能となるとみられる。

中銀の為替統計データによると、市中の両替店の対ドルレート(パラレルレート)は、中銀が定める対ドル公定レートより高く、レート差は代理店化が定着していた2022年6月には一時37.8%に達した。9月も15%前後の乖離が続いていたが、当局による強い罰則措置の導入によって徐々に解消し、12月以降は1%以下に落ち着いている(注2)。

(注1)商業銀行による両替サービスは引き続き可能。

(注2)キープの購入レート(対ドル)は、両替代理店では中銀レートの±3%以内とすることが義務付けられている〔2022年10月11日付 両替レートの規定に関する中央銀行総裁合意(No.779/BOL)〕。

(山田健一郎)

(ラオス)

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