ラ・リオハ州がリチウム探鉱開発などに州公社参加を義務付け、産業界の反対押し切り波紋

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年01月19日

アルゼンチン北西部のラ・リオハ州政府は117日、同州のエネルギー転換と社会経済発展を目的に、リチウムを同州の戦略的天然資源とすることを定めた同州法律10,608PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布した。同法は12月に同州議会で審議、可決されていた。

同法は、リチウムを同州の戦略的天然資源に指定するとともに、リチウムに係る研究、調査、探鉱、開発、工業化、それにより得られた製品の付加価値を州の公益とし、同州でのリチウムの試掘、探鉱、探査、採掘権の許可を120日間停止した。また、州政府が今後決定する対象地域での既存の試掘、探鉱、探査、採掘などの許可は失効し、再びこれらを行うには同州のエネルギー・鉱物公社(EMSE)の参加を得なければならないと規定した。加えて、リチウム開発には州の公営企業が優先権を持つとし、同法に反するその他の規定を廃止すると定めた。

鉱業会社団体のアルゼンチン鉱業会議所(CAEM)やアルゼンチン工業連盟(UIA)などは、同法の公布に反対する意見を表明していた。CAEMは「コンセッションや許可の停止は、将来の社会経済発展の可能性を損ない、潜在投資家を脅かす負のシグナルとなり、鉱業生産と外貨の獲得、雇用創出を阻むことになる」と主張。UIAは「長期的な投資を必要とするリチウムなどの資源開発には、長期的な予測可能性と権限を開発企業に与えることが必要。同法は、アルゼンチンが進めるエネルギー転換、開発、雇用創出、輸出による外貨獲得などと正反対の方向に進むもの」として同法を公布しないよう求めていた。

なお、同州では現在、カナダのオリジン・リソーシーズ社がリチウムの探査を行っている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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