法務・人権相が辞任、反政府デモ受刑者への恩赦執行が契機に

(チリ)

サンティアゴ発

2023年01月13日

チリのガブリエル・ボリッチ大統領は1月7日、マルセラ・リオス法務・人権相の辞任を受理したと発表した。新法務・人権相には、スペインのジェイダ大学で法学博士を取得したルイス・コルデロ・ベガ氏が11日に任命された。

今回の閣僚交代の発端となったのは、ボリッチ大統領が12月30日に発表した2019年の反政府デモ時に逮捕された12人への恩赦(indulto)が執行されたためだ。釈放された受刑者の中に、反政府デモ以前に犯罪歴を持つ者が含まれていたことが明らかとなり、野党の中道右派連合(Chile Vamos)が恩赦執行は法律違反に当たると指摘。リオス前法務・人権相に対する弾劾決議案を国会に提出することが発表された。弾劾決議案がリオス氏辞任後の1月9日に実際に国会へ提出されたことで、今後は専門委員会が設置され、詳細についての調査が行われる予定となっている。新法務・人権相となったコルデロ氏は就任後の会見で、恩赦を取り消す可能性についての記者からの質問には明言を避けている。

民間調査会社カデムが1月4~6日に実施した世論調査によると、ボリッチ大統領の支持率は前週から3ポイント減の27%だった。不支持は前週から9ポイント増の70%で、2022年3月の大統領就任後、初めて不支持が70%に達した。

(岡戸美澪)

(チリ)

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