5G周波数の割り当て帯域決定、入札は2023年第1四半期を目指す

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年01月04日

アルゼンチンの国家通信機構(ENACOM)は12月27日、第5世代移動通信システム(5G)周波数として3300~3600メガヘルツ(MHz)の帯域を割り当てることと、同帯域を利用して提供するサービスを「信頼性・知能性の高い電気通信役務」と名付け、それに係る技術の使用を規制する「信頼性・知能性電気通信役務一般規則」を承認したと発表した。同一般規則は12月28日にENACOM決議2385/2022号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて官報公示された。ENACOMは今回の決定を「アルゼンチンにおける5Gの導入に一歩近く決定」としている。

ENACOMはENACOM決議2199/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて6つの5Gの帯域候補を示していた。また、ENACOMは2021年3月に5Gの運用試験を実施しており、スウェーデンのエリクソン、中国の華為技術(ファーウェイ)、フィンランドのノキアが参加した。アルゼンチンでは通信大手のテレコム社がDSS技術(Dynamic Spectrum Sharing)により4Gの周波数を用いた5Gのサービスを一部の都市で提供している。

なお、2022年10月にサンティアゴ・デル・エステロ州で開催された「スマートシティー・エキスポ」で、ENACOMの幹部が2023年第1四半期(1~3月)の入札実施を目指していると発言している。複数の報道によると、政府は落札額を14億~15億ドルと見積もっているが、国内の主要通信会社は政府の見積もりは過大とみているようだ。政府は必要緊急大統領令(DNU)690/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、情報通信技術(ICT)や通信ネットワークへのアクセスなどを必要不可欠かつ戦略的な公共サービスと定め、これらサービスの価格をENACOMが規制できると規定した。一部の通信会社が訴訟を提起したため、DNU690/2020号の効力は一部を停止しているが、通信会社がコスト増を十分に価格転嫁できない状況にあるため、政府の見積額は過大だと、2022年12月27日付の現地紙「ラ・ナシオン」(電子版)は報じている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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