国際旅行博「フィトゥール」がマドリードで開催、訪日観光の早期回復に期待

(スペイン、日本)

マドリード発

2023年01月31日

世界最大規模の国際旅行博「フィトゥール(FITUR)2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が1月18~22日、スペインのマドリードで開催された。

公式サイトによると、5日間の来場者数は前年の倍の22万2,000人にのぼり、新型コロナ感染拡大直前の2020年1月開催時の水準に迫る回復ぶりをみせた。ビジネス関係者は13万6,000人。131カ国・地域から8,500の企業・団体が計755の独自ブースを出展した。また、新型コロナ禍で導入されたオンライン参加用のデジタルプラットフォームへの登録者も5万6,000人と前年の8割増になった。

世界各国での渡航制限緩和に伴い、海外からの参加者も大幅に増加し、国別ブースも従来のような華やかさを取り戻した。日本からは、日本政府観光局(JNTO)がジャパンパビリオンを設置し、日系の旅行代理店やツアーオペレーター、また奈良県や和歌山県、大分県など、15企業・自治体が出展した。さらに、東京観光財団が独自で「TOKYO」ブースを出展した。ジャパンパビリオンでは、国際交流基金が着付けの実演や書道のパフォーマンスなど、多彩な日本文化紹介を行った。

ジェトロは、ジャパンパビリオン内ステージで、スペインの日本酒輸入商社サルビオーニ&アロマール(S&A)のパブロ・アロマール社長と連携し、日本酒セミナーを開催した。セミナーの後半では、参加者向けに日本酒の試飲と、日本酒とのペアリングの紹介として日本食の試食提供も行った。

スペイン、中南米からの集客機会

日本の出展企業からは、慎重ながらも訪日客の回復に向けた手応えを感じる声が聞かれた。

「渡航制限が長期にわたったため、市場環境の正常化には時間がかかるだろうが、訪日需要は右肩上がりであり、今後の回復に期待する」「日本は『開国』したばかりで、訪日客の本格回復にはある程度時間がかかるだろう。一方で、久しぶりの海外旅行なので費用度外視で日本を楽しみたい層も多く、以前より泊数の多いツアーや、数カ国周遊ではなく日本だけを周るツアー商品への引き合いが増えている」

フィトゥールは、スペイン語圏である中南米の旅行業者の参加も多く、中南米からの集客に関わる商談も多いという。

スペイン政府の推計によると、2022年にスペインを訪れた観光客数は7,150万人超(前年比2.3倍)、観光収入は870億ユーロ(2.5倍)。いずれも新型コロナ禍前の2019年の9割近くまで戻っており、フィトゥールはこの回復を反映した盛況ぶりとなった。

写真 ジャパンパビリオンでの日本酒セミナーと試飲の様子(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンでの日本酒セミナーと試飲の様子(ジェトロ撮影)

(伊藤裕規子、高氏朋佳)

(スペイン、日本)

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