サブサハラ・アフリカの経済成長見通し、2022年は3.4%、2023年は3.6%

(アフリカ、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アンゴラ)

中東アフリカ課

2023年01月17日

世界銀行は1月10日、最新の「世界経済見通し」を発表した。同行は、サブサハラ・アフリカ(SSA)地域における2022年の成長率を、6月の前回発表から0.3ポイント下方修正し、3.4%と推計した。2023年と2024年の成長率については、それぞれ3.6%、3.9%と予測している。

世界銀行によると、2022年は高いインフレ率、外需の低迷、世界的な金融情勢の緊迫がSSA地域の成長を鈍化させた。特に食糧価格の上昇は、ロシアのウクライナ侵攻や悪天候により加速し、SSA地域の平均インフレ率を13%に押し上げた。ガーナやルワンダなどでは年間インフレ率が30%を超え、SSA地域の4分の1以上の国で食糧インフレ率が20%を超えた。食糧価格の高騰が深刻な影響を及ぼしている人数は推定1億4,000万人を超えている。

主要国をみると、ナイジェリアの2022年の成長率は、前回予測から0.3ポイント下方修正し、3.1%と推計された。洪水やインフレ高騰による消費者需要の低迷、また原油生産量の大幅減少が理由として挙げられている。2023年と2024年は、原油価格の下落が原油生産の回復を妨げ、非石油部門の成長も伸び悩むため、成長率はともに2.9%と予測されている。南アフリカ共和国では、深刻な電力不足、世界的な鉱物価格の下落、インフレ高騰のため、2022年の成長率は推計1.9%にとどまった。今後は、主要貿易相手国の活動低迷や世界的な金融情勢の影響を受け、また高い失業率と電力不足および財政政策が足かせとなり、2023年の成長は1.4%とさらに鈍化、2024年には1.8%になると予測されている。一方で、アンゴラは、2022年は原油価格の高騰と安定した石油生産に支えられ、推計3.1%の回復を示した。ただし、原油価格の下落などにより、2023年と2024年は、それぞれ2.8%、2.9%の成長率に減速すると予測されている。

SSA地域全体の2023年、2024年については、世界的な鉱物価格のさらなる下落などの影響を受け、約60%の国の成長率が前回予測から下方修正された。インフレの高騰は緩和が予想されるものの、持続的な貧困と食糧不安に加え、天候不順、多額の債務、政策の不確実性、紛争などの影響で、多くの国で成長のペースは鈍化したままになると予想される。また、SSA地域では2023年から2024年の間の1人当たり所得の伸び率が平均1.2%にとどまると予測され、貧困率の上昇が懸念されている。

(天神和泉)

(アフリカ、ナイジェリア、南アフリカ共和国、アンゴラ)

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