英政府系開発金融、アフリカでの淡水化に関する報告書公表

(英国、アフリカ)

ロンドン発

2023年01月30日

英国の政府系開発金融機関ブリティッシュ・インターナショナル・インベストメント(BII)は12月13日、アフリカでの淡水化プロジェクトへの投資に関するレポートを公表した。レポートは、淡水化がどのような環境で持続可能な影響を与えることができ、さらに、いかにその影響を高められるかについて、社会的インパクトと経済的リターンの両方の実現を目指すインパクト投資家に示すために作成された。報告書では投資に当たっての7つの提案を挙げた。

〇自由な設計を行えるよう、プロジェクトの準備や開発、契約モデルへの早期からの関与を追求。

〇水の損失削減・リサイクルへの投資が既にされている、または予定されている水システムを探す。

〇プロジェクト実施期間中に使用する再生可能エネルギー(再エネ)の閾値を決定。以下の2つの手法によって閾値を設定。

  • 再エネでの自社発電とグリッド(送電網)からのバックアップを組み合わせる。
  • グリッドに再エネ発電容量を付加。

〇取水・排水の設計に係るベストプラクティスの実行、新技術に対するデューディリジェンスと塩水の長期的影響の監視を投資条件に設定。

〇水の真の価値を使用者に示すことで、淡水化のコストについての懸念を解消。

〇農業での淡水化の機会を模索。

〇知識移転を促し、ステークホルダー間の知識格差に対応。

レポートは淡水化が最適な国として、エジプト、モロッコ、ナミビア、南アフリカ共和国を挙げた。最もポテンシャルが高いエジプトは、淡水化の経験は豊富なものの、観光客向けの施設に供給されてきたことから、今後は都市用水と灌漑用水の確保を戦略の1つとする予定としている。モロッコでは、淡水化を農業に導入しており、農業省は2つの淡水化施設の調達を通じて、容量の増加を計画している。

一方、設備投資コストや金融リスクによって、ナミビアと南ア市場は低成長を予測している。しかし、再エネを使用した淡水化という視点では、再エネ供給が豊富なナミビアは有望と指摘し、同国は今後、世界最大級のグリーン水素生産者になるとも期待している。グリーン水素生産プロセスでは大量の精製水を使用するため、産業向けの淡水化の需要が高まる可能性を挙げている。

(レイナー・あや)

(英国、アフリカ)

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