第3四半期の米貿易収支、9四半期ぶりに輸入が減少

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月22日

米国商務省が12月21日に発表した2022年第3四半期(7~9月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比1.6%増の7,811億ドル、輸入は3.0%減の9,917億ドルとなった(添付資料表1、図参照)。輸出が増加し、輸入が減少したことから、赤字額は430億ドル減少し2,106億ドルとなった。輸入の減少は2020年第2四半期(4~6月)以降、9四半期ぶりとなる。小売業者が新型コロナウイルスのパンデミックによるサプライチェーンの混乱によって積み上がった在庫の削減に取り組んだことや、インフレによる消費者心理の悪化による買い控えが影響したとみられている。なお、財、サービスの内訳では、財が2,711億ドルの赤字、サービスが605億ドルの黒字だった。

財貿易をみると、輸出が前期比1.3%増の5,470億ドル、輸入が3.8%減の8,182億ドルとなった。輸出では民間航空機用エンジンおよび部品、医薬品、その他工業用機械などが押し上げ要因となった。輸入では家庭用品(携帯電話を含む)、衣料品、金属・非金属製品などが押し下げ要因となった(添付資料表2参照)。

財貿易を主要国・地域別にみると、輸出では、アジアNIESが前期比8.5%増の522億ドルで、最大の押し上げ要因になった。金(HSコード:7108)、原油(2709)、半導体製造装置(8486)などが増加した。次いで、EUが2.2%増の918億ドルだった。石油ガスそのほかのガス状炭化水素(2711)、大豆(1201)、爆弾類(9306)の伸びが影響した。輸入では、EUが前期比5.0%減の1,350億ドルで、最大の押し下げ要因になった。医薬品(3004)、石油および歴青油(原油を除く、2710)、ホルモン(有機化学品、2937)などが減少した。次いで、カナダが4.4%減の1,136億ドルと押し下げた。乗用車(8703)、木材(4407)、アルミニウム(7601)などが減少した。

対中貿易は、輸出が増加し輸入が減少したことで、貿易赤字額は減少し、985億ドルだった。赤字額の減少は2四半期連続となった。輸出では原油(2709)、民間航空機(エンジン・部品を含む、88類)、白金(7110)などが増加した。輸入では腰掛け(9401)、エアコン(8415)、コンピュータを含む事務機器用部品(8473)などが押し下げ要因となった。また対日貿易は、輸出が伸び、輸入が減少したことで貿易赤字額は減少した(添付資料表3参照)。

なお、12月6日の商務省の発表によると、直近の10月の輸出(財・サービス)は9月より19億ドル減少して2,566億ドル、輸入は22億ドル増加の3,348億ドルで、9月に続いて輸出減、輸入増となった。10月の輸入増について、英国の調査会社オックスフォード・エコノミクスの米国担当エコノミスト、マシュー・マーティン氏は「強いドルと強靭(きょうじん)な消費支出に支えられたもの」との見方を示している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版12月6日)。

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(米国)

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