暗号資産取引を規制する動き始まる

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年12月28日

ブラジルで、暗号資産取引の規制に向けた法律第14,478号が12月22日に官報に公示された。2023年6月20日に施行する予定。同法は、暗号資産の運用や保管などを行う企業に対して、連邦政府が指定した監督機関のルールに従う義務を負わせるもの。下院議会の公式サイト(11月30日付)によると、暗号資産が詐欺や資金洗浄など犯罪行為のために利用されることを防止する目的がある。

連邦政府が指定する具体的な監督機関は発表されていないが、ブラジル・インターネット協会(Abranet)は公式サイトで「資産の種類によって、中央銀行か証券取引委員会(CVM)が指定される見通し」と述べている(12月22日付)。具体的なルール作りは指定された監督機関によって進められる。

なお、同法律の国会審議プロセスでは、暗号資産の運用・保管を行う企業が顧客の資産を利用することを禁じる項目も提案されたが、採用されなかった。Abranetの公式サイト(11月30日付)によれば、議論がまとまらなかったことが背景にある。現地紙「バロール」(11月29日)はその理由として、暗号資産交換業者の間で意見が分かれていることを挙げている。国内の交換業者は、顧客を守る措置として暗号資産交換業者と顧客の資産を完全に分けることが必要とする一方、国外の交換業者は、預金保険制度のように万が一、暗号資産交換業者に問題が生じた場合、顧客を保護するための基金を設立すべきとしている(注)。現地紙「エスタード」(11月30日)によれば、国内の暗号資産交換業者は、資産の扱いに対する問題は今後、連邦政府が指定する監督機関などのルール作りで再び議論されることを期待している。

(注)安全措置を講ずることで運用を可能にする意図があるとみられる。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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