対ロ輸出に取り組むフィンランド企業は減少、輸出額も急減

(フィンランド、ロシア)

ロンドン発

2022年12月20日

フィンランド商工会議所は12月7日、フィンランドの輸出企業を対象に行った調査結果(期間:11月14~16日、回答企業数:123社)を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料図1参照)。調査結果によると、調査時点でロシアにおいて事業を実施する企業はわずか4.1%だった。14.6%はロシア市場から撤退中、81.3%は事業を行っていないと回答した。

5月時の同調査(期間:5月18~20日、回答企業数:119社)では、回答企業の23.5%が事業を実施、16.8%が撤退中という結果だった。その後、8月の同調査時(期間:8月22~24日、回答企業数:158社)にはロシア市場からの撤退が急速に進み、事業を実施していると回答した企業の割合は5.8%まで低下、さらに20.5%の企業が撤退中と回答した。

8月の調査時には、地政学的な不確実性とそれに伴う混乱による潜在的なリスクに対し、何らかのかたちで新たに対応を開始したと回答した企業が9割を超えた。具体的には、事前調達、サプライチェーンの再編成などが挙げられた。そのほか、サプライチェーンのリスク管理や原材料、燃料の代替サプライヤーの確保なども挙がった。

フィンランド税関によると、対ロシア輸出額(速報値)はロシアがウクライナへの侵攻を開始した翌月の2022年3月以降、前年同月比で減少を続けている(添付資料図2参照)。最新のデータとなる9月の輸出額は76.1%減の8,100万ユーロとなり、フィンランド税関が月次の輸出額の発表を開始した1996年以降で最低を記録した。2022年1月から9月までの輸出額の合計でみると、前年同期比で40.0%減少し、輸出先国としては前年同期の5位から13位へと低下した。総輸出額に占める割合も、前年の5.6%から2.7%に低下している。

商工会議所は11月11日、同国の輸出の状況を反映する材料の1つである原産地証明書に関する統計を発表した。2022年3月から10月までのロシア輸出に対する同証明書の発行数は、前年同期比で83%減少した。侵攻前には月に800~900件発行されていたロシア向けの証明書数は、現在では100件未満に減少しているとした。

また、国営放送yle(12月6日付)は、国有企業フィンランド鉄道VRが4月の決定に従い、フィンランド~ロシア間の貨物列車の全運行を12月末で終了予定と報じている。

(半井麻美)

(フィンランド、ロシア)

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