GDP成長率予測、2023年は1.0%、2024年は1.6%の見通し

(スイス)

ジュネーブ発

2022年12月20日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は12月13日、スイス経済見通しを発表し、実質GDP成長率(スポーツイベント調整後:注)を2023年は1.0%、2024年は1.6%と予測した(プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、添付資料表参照)。スイス経済は今後、過去平均を大幅に下回るペースで推移するとの見通しを示した。

2022年第3四半期(7~9月)は内需に牽引され、国内経済は予測どおり伸びた。個人消費は公衆衛生対策の解除後、観光・娯楽分野のキャッチアップ効果により堅調に増加した。第4四半期(10~12月)の経済成長はやや低調になるとみられるが、2022年のGDP成長率予測は2.0%に据え置かれた。

今回発表されたGDP成長率予測は、今冬、翌冬ともに深刻なエネルギー供給不足が発生しないシナリオを前提としているが、スイス経済の先行きは今後の世界経済とエネルギー情勢に大きく影響される。欧州のエネルギー情勢は依然として緊迫しており、ガスや電気の価格高騰は2022年の2.9%、2023年の2.2%の消費者物価指数上昇率予測に反映されている。これが個人消費の減速につながり、金利上昇が世界的な投資活動を抑制する可能性も高い。SECOはまた、世界の高インフレと金融引き締めにより、外需が今後2年間は鈍化すると予想しており、これに影響を受けるスイスの輸出産業が減速する可能性がある。

2023年のGDP成長率予測(スポーツイベント調整後)は1.0%と前回9月の予測から0.1ポイント下方修正され、失業率は2.3%と2022年から0.1ポイント高くなる予測だ。しかしSECOは、深刻な景気後退には至らず、欧州のエネルギー情勢は翌冬以降に徐々に正常化し、世界経済もインフレが緩和されるとともに徐々に勢いを取り戻してスイス経済の回復につながるとの見方から、2024年のGDP成長率を1.6%、消費者物価指数上昇率を1.5%、失業率を2.4%と予測した。

(注)スイスには、国際オリンピック委員会(IOC)、国際サッカー連盟(FIFA)、欧州サッカー連盟(UEFA)など主要国際イベントの本部があるため、イベント開催年に放映権収入がGDPを押し上げ、翌年マイナスに作用するのが通例。このため、SECOはこの影響を除いた調整値を別途算出している。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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