チャンギ空港の旅客、新型コロナ前の7割まで回復
(シンガポール)
シンガポール発
2022年12月26日
シンガポールのチャンギ空港を運営するチャンギ・エアポート・グループ(CAG)の最新統計によると、同空港を2022年11月に利用した旅客数は396万人と、新型コロナウイルス流行前の2019年同月と比べて約7割にまで回復した(添付資料表参照)。シンガポールでは2022年4月から渡航規制が緩和されて以降、外国人来訪者が増加している。政府は先に、2022年中にも航空旅客数が新型コロナウイルス流行前の約50%まで回復するとの目標を設定していたが(2022年5月12日記事参照)、その目標を上回る旅客数の伸びとなった。
CAGの報道発表(2022年12月20日)によると、95の航空会社が、1週間当たり約5,500便の航空便を運航し、チャンギ空港と48カ国・地域の約140都市を結んでいる(2022年12月第1週時点)。同空港に乗り入れる航空便数は、新型コロナウイルス感染拡大前の82%まで回復した。
CAGはチャンギ空港の利用旅客数の回復を受け、新型コロナウイルス感染拡大に伴う渡航規制で閉鎖していた旅客ターミナルの営業を段階的に再開している。2022年5月下旬に第2ターミナル、9月に第4ターミナル、10月に第2ターミナルの南ウィングの営業をそれぞれ再開した。この結果、同空港の旅客取り扱い能力は2022年12月時点で年間7,000万人以上と、新型コロナウイルス流行前の2019年通年の旅客数(6,828万2,840人)を上回っている。
預け入れ手荷物のトラッキングシステム導入、旅客増に対応
一方、CAGは2022年12月12日から、チャンギ空港の専用アプリ(iChangi、注)を通じて、旅客が預け入れた手荷物をトラッキングできるシステムを実験的に導入した。預け入れ手荷物の追跡システムを導入するのは、東南アジアでチャンギ空港が初めて。
同システムを利用できるのは当面、シンガポール航空や日本航空など36の航空会社の利用旅客と、第2と第3ターミナルに到着または乗り継ぎをする旅客となる。その他のターミナルの利用旅客が追跡システムを利用できるようになるのは、2023年初頭となる見通し。
欧州など一部の空港では2022年、渡航規制の緩和とともに急増する旅客に対して人手不足などで対応が追い付かず、多くの手荷物が紛失する混乱が生じた。CAGは2021年下期から、外部の技術協力会社と共に、追跡システムの導入に向けて準備を進めていたという。
(注)専用アプリのダウンロード方法と預け入れ手荷物の追跡システムの詳細は、CAGのホームページを参照。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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