フランス中銀、2023年の実質GDP成長率を0.3%と予測

(フランス)

パリ発

2022年12月26日

フランス銀行(中央銀行)は12月17日、フランスのマクロ経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、2023年の実質GDP成長率を前年比0.3%と、2022年の2.6%から鈍化すると見通した(添付資料表参照)。ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格高騰の影響などで2022年下半期に強まった景気減速の動きは2023年も続き、景気の持ち直しは2024年以降となる。

2023年は小幅ながら一時的に景気が後退する可能性を除外できないとし、同年の実質GDP成長率見通しにマイナス0.3%~プラス0.8%の幅を持たせた。2024年と2025年の実質GDP成長率はそれぞれ前者が1.2%、後者が1.8%と予測した。

2023年の消費者物価指数の上昇率は年平均で6.0%と、2022年と同じ水準にとどまると見通した。2024年は食品およびサービスで一部、物価上昇圧力が残るものの、全般的に低下し、2024年末から2025年にかけて欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%近くに戻るとしている。

1人当たりの平均賃金は2022年に前年比3.8%増、2023年に6.2%増と上昇するものの、物価高騰に追い付かず、家計購買力は2022年に前年比0.6%減、2023年は0.4%減少する。景気の先行き不安から、貯蓄率は2022年から2024年まで年平均16.4%の高い水準で推移するとみられ、GDPの52%を占める家計最終消費支出の伸びは2023年に前年比0.3%増と前年の2.4%増から減速するとみる。

景気鈍化に伴い、2023年の雇用創出数(年平均)は5万8,000人と前年の64万7,000人から急速に縮小する見通し。失業率は2023年に7.5%、2024年に8.2%と、2022年の7.3%から上昇する見込みだ。

財政赤字のGDP比は2022年の5.0%から2023年は5.4%に上昇するとしている。エネルギー価格抑制措置や各種手当の引き上げなど政府の物価高騰対策費用は2022年に合わせて500億ユーロ、2023年に600億ユーロ近くに達するとみられる。公的債務残高のGDP比は2023年も前年に続き112%の高い水準にとどまる見通しだ。

(山崎あき)

(フランス)

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