スリランカ、2023年に外国人観光客の倍増を目指す

(スリランカ)

コロンボ発

2022年12月14日

スリランカのハリン・フェルナンド観光・土地相は12月1日の記者会見で、2023年に150万人の外国人観光客の誘致と50億ドルの観光収入を目指すことを明らかにした。2022年には外国人観光客75万人程度、観光収入20億ドルほどになる見込みで、それぞれ約2倍を目指している。

フェルナンド大臣は、今後数カ月の間に複数の航空会社がスリランカに就航する予定であることも明らかにした。また、日本や韓国、ジョージア、オーストラリア、ニュージーランド、東欧、米国の市場を新たに開拓する計画も示した。そのほか、観光地では夜間停電の是正措置を進める予定だ。

スリランカへの外国人観光客は、新型コロナウイルス流行以降、大きく落ち込んでいる。過去2年間で推定60億ドルの観光収入を失ったことが経済危機の一因ともなった(注)。新型コロナ収束以降も、数カ月にわたる政府への抗議活動や政治的混乱、停電、燃料不足などによって観光は低迷し、観光客数は新型コロナ流行前の水準を大きく下回っている(12月7日時点の年間観光客数は64万4,186人。2018年は233万3,796人、2019年は191万3,702人)。

それでも、ここ最近は回復の兆しを見せている。11月の外国人観光客数は5万9,759人に達し、本格的な経済危機に直面した2022年4月以降では最も高い水準となっている。回復の要因としては、スリランカの治安や燃料供給などの回復に伴って各国が渡航延期勧告を取り下げるとともに、スリランカに就航する航空会社やコロンボに就港するクルーズ船が運航を再開していることなどが挙げられる。

今後は、長期的に観光客を呼び込むためのインフラ開発も期待される。投資委員会は11月29日、観光分野の投資誘致に関するセミナーを開催し、同分野に投資が期待される有望なプロジェクトとして、ヌワラエリヤのケーブルカーやグレゴリー湖のテーマパーク、キャンディーの観光・文化センターの開発事業などを紹介した。

(注)財務省と中央銀行が9月23日に債権者を対象に開催した会議資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2015年から2019年までの平均で36億8,200万ドルの観光収入があったが、2020年に6億8,200万ドル、2021年には5億700万ドルまで観光収入が落ち込んだ。

(ラクナー・ワーサラゲー、大井裕貴)

(スリランカ)

ビジネス短信 cbdcb8db2ab11ac0