米中摩擦で米市場ニアショア拠点としてメキシコの活用進む、ジェトロ海外進出日系企業実態調査(北米・中南米編)

(メキシコ、米国、中国)

米州課

2022年12月27日

ジェトロは、米国やメキシコに進出する日系企業を対象とした現地での活動実態に関するアンケート調査「2022年度海外進出日系企業実態調査(北米編)中南米編」を1220日と1226日にそれぞれ公表した。調査結果では、進出日系企業が中国からメキシコに調達先や生産地を移転する傾向があることが分かった。

在米進出日系企業への実態調査によると、今後、中国からの調達を見直すと回答した41件の変更後の調達先は、米国15件、メキシコ7件、ASEAN5件の順で、メキシコは第2位だった。今後、中国から生産地を変更すると回答した14件の変更先では、ASEAN5件、他のアジア・オセアニア3件、米国2件、メキシコ2件(ほかに2件)で、メキシコへの生産地変更は米国と並んで第3位だった。今後、メキシコに調達を変更すると回答した18件の変更元は、米国5件(全体の27.8%)、メキシコ1件、アジア(中国7件、ASEAN3件、日本2件)12件(66.7%)の内訳となった。今後、メキシコに生産地を変更する16社の変更元は、米国11件、日本3件、中国2件となっている。

ロシアのウクライナ侵攻契機に米中摩擦をより意識

在メキシコ進出日系企業への実態調査によると、米中摩擦の「影響がある」との回答は前回調査より14.5ポイント増加した。具体的には「引き合いが増加した」が3.2ポイント増、「中国からの部品・材料調達を減少させた」が3.9ポイント増加した。逆に「引き合いが減少した」は半減し、全回答の1.0%にとどまった。

在メキシコ日系企業による米国・カナダ・メキシコ協定(USMCA)の活用も進んでいる。USMCA発効による影響が「分からない」との回答割合は前年調査より7.7ポイント低下した。USMCAの影響については「プラスの影響がある」(20.3%、6.2ポイント上昇)が「マイナスの影響がある」(10.8%、1.3ポイント上昇)の約2倍となった。プラスの影響で最も多かった理由は、原産地規則に基づいて「引き合いや供給先・供給量が増加した」(24社)との回答だった。在メキシコ進出日系企業による具体的な対応としては、「調達先の変更」(6社→14社)、「生産地の変更」(3社→7社)、「追加投資判断の決定」(0社→1社)が前回調査と比べ増加している。

海外進出日系企業実態調査(北米編)の調査実施期間は9830日(日本時間)。調査対象は在米日系企業(製造業・非製造業)のうち、直接出資や間接出資を含めて、日本の親会社の出資比率が10%以上の企業、日本企業の支店。調査対象は1,841社、有効回答数は787社(有効回答率42.7%)。

海外進出日系企業実態調査(中南米編)の調査実施期間は824928日。調査対象は中南米7カ国に進出する日系企業(日本側による直接、間接の出資比率が10%以上の企業)の730社。有効回答数は482社/730社(有効回答率66.0%)。

(大久保敦、小西健友)

(メキシコ、米国、中国)

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