香港のスタートアップ企業数が3,985社に

(香港)

香港発

2022年12月22日

香港投資推進局(インベスト香港)はこのほど、同局が実施した香港スタートアップ調査(注1)の結果を明らかにした。それによると、2022年の香港のスタートアップ企業数は前年比6%増の3,985社となった(添付資料図参照)。インベスト香港は同調査結果で、低税率と簡素な税制、資金調達のしやすさ、国際市場や中国本土へのゲートウエーとしての機能といった強みが多くのスタートアップ企業を香港に引きつけていると分析した。

香港のスタートアップのうち、香港人(注2)が創業したスタートアップは全体の7割を超え、香港域外の創業者によるスタートアップは3割をやや下回った。域外の創業者を出身国・地域別にみると、中国(21.2%)が最も多く、次いで米国(16.3%)、英国(13.1%)、フランス(6.8%)、シンガポール(4.5%)の順となっている。日本の創業者割合は11位(2.4%)で、前年の8位(2.9%)からさらに順位を下げた。

分野別にみると、フィンテック(513社、構成比12.9%)をはじめ、eコマース・サプライチェーンマネジメント・物流テクノロジー(512社、12.8%)などのIT系スタートアップが大きな部分を占めている。前年との比較で増加が目立った分野としては、バイオテック系が2.4倍(前年比96社増、計165社)となった。健康・医療系も66.9%増(前年比97社増、計242社)、教育・学習系は46.3%増(前年比101社増、計319社)だった。新型コロナウイルス禍での健康への関心の高まりや、オンライン授業の普及がこれら分野への参入増を後押ししているとみられる。一方、ソーシャルイノベーション、ベンチャーキャピタルは57.0%減(前年比77社減、計58社)。そのほか、専門的サービスまたはコンサルティングサービス系が23.1%減(前年比92社減、計307社)、スマートシティー系も17.7%減となった(前年比20社減、計93社)。

なお、ジェトロは「ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ」事業を通じ、日系スタートアップ企業の香港への進出をサポートしている(注3)。

(注1)同調査は、9月末時点で香港内に拠点を有するコワーキングスペースの提供会社や、インキュベーター、アクセラレーターの計64社を対象に実施した。

(注2)海外で学位を取得、または海外で就業した後、起業目的で香港に戻ってきた香港人を含む。

(注3)同サービスには、ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブのウェブサイトを通じて申し込むことができる。ブリーフィングやメンタリング、コワーキングスペースの提供などを無料で行っている。

〔何樂晴(エスター・ホー)〕

(香港)

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