バイデン米政権、ロシアの船舶関連事業者を制裁対象に指定

(米国、ウクライナ、ロシア)

ニューヨーク発

2022年12月23日

米国国務省は12月22日、ロシア海軍に製品・技術供与を行う船舶関連事業者など10社を金融制裁の対象である「特別指定国民(SDN)」に指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

国務省は今回の制裁指定の理由として、ロシア海軍が、世界への食料・穀物供給を担っているウクライナの港湾に対し軍事行動を起こしている点を挙げている。その上で、「米国は、ロシアによるウクライナへの攻撃、それが空、陸、海どこからであっても、抑止するためにあらゆる手段を講じていく決意だ」と述べている。国務省が同時に公表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、ロシア海軍や国防省に先端電池を供給しているリゲル(RIGEL)や、船舶用自動制御システムの開発・生産でロシアを代表するアブロラ(AVRORA)など、SDNに指定された10社の概要が説明されている。SDNに指定した対象には、在米資産の凍結や米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止という制裁が科される。また、SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。SDNに今回指定した企業などの詳細は、財務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる(注2)。

また、商務省産業安全保障局(BIS)は12月21日、ロシアの民間軍事会社ワグナー・グループに対する輸出管理を強化する措置を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は2017年に、ウクライナの政情不安への加担を理由に、SDNに指定されるとともに、輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト(EL)に掲載されている。今回は、同社のEL掲載の内容に修正を加えて、デュアルユース製品の調達を一層困難にした。具体的には、同社の1拠点と2つの別名称を新たに加えるとともに、同社をロシア・ベラルーシの軍事エンドユーザーに指定した。当該指定を受けた場合、特定の製品については米国外で生産されたものでも、米国製の技術・ソフトウェアを用いていればEARの対象となる。いわゆる外国直接製品(FDP)ルールとなるが、BISはこのルールをワグナー・グループ全体に課したとしている。

米国政府が2022年2月以降に発動した対ロシア・ベラルーシ制裁関連については、添付資料を参照。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)ウクライナ情勢に関する財務省による制裁の全容は、同省の「ウクライナ/ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定した個人・企業などについては、同省外国資産管理局(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(磯部真一)

(米国、ウクライナ、ロシア)

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