第3四半期の実質GDP成長率、前年同期比3.9%に減速

(トルコ)

イスタンブール発

2022年12月05日

トルコ統計機構(TUIK)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(11月30日)によると、2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は、個人消費と政府支出が牽引したものの、市場予測(4%)をわずかに下回って、前年同期比3.9%にとどまった。季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)では0.1%のマイナスだった。

第3四半期の成長率を支出項目別にみると、GDPの最大項目の家計最終消費支出が前年同期比で前期の22.5%から19.9%と減速したが、なお成長の牽引力となっている。高インフレ(10月は前年同月比85.5%増)は続いているものの、年初から約28%減価が続いていた通貨トルコ・リラが対ドル18リラ台で安定しており、実質的なマイナス金利の下、貯蓄切り崩しによる消費が続いているとみられている。季節・日数調整後の前期比の家計最終消費支出は3.9%増だった。

輸出は前年同期比で12.6%に減速した一方、輸入は同12.2%と増加し、純輸出は成長に対してマイナス寄与となった。民間投資を含む総固定資本形成は前年同期比1.3%減、季節・日数調整後の前期比ではマイナス2.3%と振るわなかった。建設投資の縮小が要因とされているが、機械・設備投資は緩やかな拡大傾向とみられる。

部門別では、工業が前年同期比0.3%、サービスが同6.9%と振るわず、中でも金融・保険業が季節・日数調整後の前期比で11.9%のマイナスに急落し、前年同期比でも21.6%と減速した。建設も同14.1%減とマイナス成長が続いている。他方、情報通信(前年同期比13.9%)、専門的技術サービス(同12.6%)、公務、教育、医療、社会福祉業(同7.6%)は伸びており、主要部門の鈍化を相殺している。

ヌーレッディン・ネバーティ国庫・財務相は、2022年の9カ月間のGDP成長率が6.2%だったとし、「中期計画(2022年9月13日記事参照)の予測どおり、約5%の成長で2022年を締めくくるだろう」と述べ、国民経済の生産や輸出、雇用重視の成長プロセスは2023年も続いていくだろうと主張した(2022年11月30日付国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(中島敏博)

(トルコ)

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