米・フランス首脳、安全保障の協力強化確認、米EV税控除は継続協議

(米国、フランス、EU)

ニューヨーク発

2022年12月02日

米国のジョー・バイデン大統領は12月1日、国賓として訪米中のフランスのエマニュエル・マクロン大統領をホワイトハウスに招き、首脳会談を行った。

会談後に公表された共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、環大西洋・欧州と世界の安全保障、核抑止・不拡散・軍縮、経済・新興技術・貿易とサプライチェーン、宇宙、エネルギー、気候・生物多様性、国際金融体制の強化、世界の公衆衛生と食料安全保障、民主主義と人権、サイバーと誤情報、教育と科学のパートナーシップ分野で、協力関係を強化することをうたっている。特に安全保障については、共同声明全体の半分ほどを割き、NATOを通じた米欧の集団的な防衛・安全保障を維持することの重要性を指摘した上で、ウクライナ、インド太平洋、アフリカ、中東について国・地域別に方針をまとめている。ウクライナ情勢については、ロシアを強く糾弾するとともに、同盟・友好国と連携してウクライナへの支援を継続するとして、従来の姿勢を確認している。

特筆すべきは、インド太平洋について「米国とフランス両国はインド太平洋国家として同地域の繁栄、安全保障、ルールに基づく国際秩序を基盤とした共通の価値観、透明な統治、公正な経済慣行、航行の自由を含む国際法の尊重を推進するために協力を強化する」としている点だ。さらに、同項では、中国を名指しし、人権問題を含む国際秩序に対する同国の挑戦がもたらす共通の懸念に対処するために、両国は協調を続けるとしている。さらには、台湾海峡の平和と安定の重要性も強調した。一方で、気候変動など分野では中国と協働していくとも記している。

米国とEUの間では、米国で8月に成立した「インフレ削減法」に含まれるクリーンビークル〔バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)〕の購入者に対する税額控除の条件が懸案となっている。同法では、税額控除の対象車両の条件として、北米(米国、カナダ、メキシコ)で最終組み立てが行われていることなどを挙げており、これにEUをはじめ、日本、韓国などが国際通商法に違反するとの懸念を示している。特に、マクロン大統領は同法に対抗して、EUの自動車メーカーを保護するために「バイ・ヨーロピアン法」を成立させるべきと主張するなど、EU首脳の中でも強い懸念を示していた。会談後の記者会見でも、記者から交渉見通しに関する質問が投げかけられたが、バイデン大統領は「双方の相違点に対処できる自信がある」と回答した。マクロン大統領も重要産業に対する政府支援の在り方について、互いのアプローチを調整することで合意したとしている。なお、米EUはこの件の協議のために10月末、タスクフォースを立ち上げている(2022年10月27日記事参照)。12月5日には米国メリーランド州で米EU貿易技術評議会(TTC)の第3回閣僚会合を開催する予定だ。1つの節目とされる2022年末までに解決の道筋をつけられるか注目される。

(磯部真一)

(米国、フランス、EU)

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