「2023年経済政策方向」を発表、2023年の経済成長率予測は1.6%
(韓国)
ソウル発
2022年12月28日
韓国企画財政部は12月21日、マクロ経済見通しや主要政策などを取りまとめた「2023年経済政策方向」を発表した。秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は、政策ブリーフにおいて、「来年の韓国経済は、上半期に輸出や民生などの困難に直面し、下半期から回復に向かう可能性が高い」との見通しを示した。その上で、2023年の経済成長率を1.6%と、2022年の2.5%(実績見通し)から鈍化するとの予測を示した(添付資料表参照)。
主な経済政策については、経済見通しなどを踏まえ、(1)マクロ経済の安定的管理、(2)民生経済の回復支援、(3)民間中心の活力向上、(4)未来に備えるための体質改善、の4テーマに沿って重点化する。秋副首相は「マクロ政策は、当面物価安定に重点を置き、経済状況を総合的に考慮し、柔軟に運用していく」としつつ、具体的には「上半期の予算執行を早期に実施し、政策金融支援規模も史上最大となる540兆ウォン(約56兆1,600億円、1ウォン=約0.104円)水準に拡大する」と述べ、公共部門の予算執行や流動性供給を中心に当面の景気対策を実施してく点を強調した。さらに、50兆ウォン+αの流動性支援(注)の迅速な実施や、税制支援も同時に実施することで、個人の社債投資の活性化し、また、国公債発行量を調節することで、社債市場の安定化を推進するとした。
不動産市場については、ハードランディング防止のため、不動産関連企業の企業売り上げの維持を念頭においた規制緩和措置を講じる。具体的には、ソウルなどの特定地域での複数の住宅所有者に対し、譲渡税の重課税の適用期限を延長することで、供給の円滑化を促す。住宅購入者に対しては、住宅ローンの認定比率(LTV)の引き上げに加え、譲渡税、不動産総合税、取得税の重課税負担も緩和する。
物価安定と生計費負担の引き下げについては、軽油、LPG(液化石油ガス)の油類税の引き下げ、および軽油の油価連動補助金の支給を2023年4月まで延長するとともに、食品価格の安定化のため、一部の輸入食材の関税割当期間を延長するなどの措置を継続する。脆弱(ぜいじゃく)階層に対する電気料金割引とエネルギー・バウチャー支援、公共交通費の所得控除や住宅担保貸出利子所得控除拡大などの支援も強化する。
(注)20兆ウォン規模の債券市場安定ファンドの再稼働、政策金融機関による社債・CP買い入れプログラムの規模拡大など。
(当間正明)
(韓国)
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