欧州中銀、主要金利を4回連続で引き上げ、APPの今後の方針も発表

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2022年12月19日

欧州中央銀行(ECB)は12月15日、フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、12月21日から3つの主要政策金利をそれぞれ0.5ポイント引き上げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。4会合連続の利上げとなるが、前回の0.75ポイントから利上げ幅は縮小した(2022年10月28日記事参照)。政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は2.00%から2.50%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は2.25%から2.75%、預金ファシリティー金利は1.50%から2.00%となる。また、今回の理事会で発表されたユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測に基づき、今後も引き続き安定したペースで金利を大幅に引き上げると判断した。

理由としては、インフレ率が依然として高過ぎる水準にあり、目標の2%を長期的に上回る予測であることを挙げた。具体的な引き上げは会合ごとにデータに基づき決定するとした一方、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、現在の情報に基づくと、次回とその次の理事会で再び金利を0.5ポイント引き上げる可能性があると述べた。

また、7月1日に終了したユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)について、同プログラムの下で購入して保有する債券・国債を2023年2月末までは全額再投資を継続するとした。2023年3月から第2四半期末(6月末)までは再投資額を毎月150億ユーロずつ減少させるとした。詳細は次回理事会で発表される予定。6月末以降の減少幅は今後の状況に応じて見極めるとした。

さらに、2022年3月末に終了した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資期間については、少なくとも2024年末とする方針を維持した。

ユーロ圏内の経済成長予測をわずかに修正

記者会見に合わせて発表したユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2022年の実質GDP成長率を前回(2022年9月)予測値の3.1%から3.4%にわずかに上方修正した(添付資料表参照)。一方で、2023年を0.9%から0.5%に下方修正した。2024年は1.9%の予測を維持し、2025年は1.8%と予測した。消費者物価指数上昇率については、2022年は前回予測の8.1%から8.4%に、2023年は5.5%から6.3%、2024年は2.3%から3.4%にそれぞれ上方修正し、2025年は2.3%との予測を示した。

(ベアナデット・マイヤー)

(EU、ユーロ圏)

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