米財務省と内国歳入庁、EV税額控除に関するガイダンスを発表、バッテリー関連の調達要件には触れず

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月14日

米国財務省および内国歳入庁は12月12日、8月16日に成立したインフレ削減法に盛り込まれたクリーンビークル(注1)の税額控除の運用に関し、自動車メーカーや販売者向けのガイダンスを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この税額控除に関しては、車両の最終組み立て地や、バッテリーの重要鉱物および部品の調達先などについて厳しい要件が定められており、自動車メーカーなどから見直しを求める声が上がっている(2022年9月29記事参照)。他方、今回のガイダンスはそのような要件の見直しに触れず、メーカーや販売者に対し、税額控除を実施する際の手続き上の義務などを示すにとどまった。ガイダンスには「内国歳入法30D条e項(注2)で定めたバッテリーの重要鉱物および部品の要件に関するガイダンスを発行する場合、その時期を明示する予定」と書かれているが、詳細は明らかになっていない(12月13日時点)。

財務省および内国歳入庁は、今回のガイダンスを通じて、メーカーが新車、中古車、商用車のクリーンビークルを生産する「適格な製造者」として認可されるための手続きや当局に対する月次報告の提出義務を明らかにした。月次報告では、対象車両の車格など詳細情報のほか、新車に関して(1)車両の最終組み立てが北米で行われたこと、(2)バッテリーの重要鉱物が米国または自由貿易協定の締結国で抽出あるいは処理、または北米でリサイクルされた価格の割合、(3)バッテリー部品が北米で製造または組み立てられた価格の割合を盛り込み、原産地要件を満たしていることを証明するよう義務付けた。また、新車と中古車の販売者に対しては、2023年以降に販売した車両の情報を翌年1月15日までに提出するよう求めている。

(注1)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。

(注2)新車に搭載されるバッテリーの重要鉱物と部品の調達要件などを示している。

(大原典子)

(米国)

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