ジェトロが「日本・モンゴル・ビジネスセミナー」開催、両国企業が講演

(モンゴル、日本)

中国北アジア課

2022年12月09日

ジェトロは1130日、日本とモンゴルの貿易・投資の拡大や協力関係の強化などについて協議する「第10日本・モンゴル官合同協議会」の開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに合わせ、モンゴルとのビジネス連携の魅力を探る「日本・モンゴル・ビジネスセミナー」を開催した。

セミナーでは、新しいイノベーションの分野でモンゴルビジネスに取り組む日本企業として、データアーティスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの山本覚代表取締役社長とモビコム(MobiCom)コーポレーションの來留島恒司最高経営責任者(CEO)、モンゴル発のフィンテック企業AND Global外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのバータルホ・ホスエルディンCEOが登壇、ビジネスを始めた背景やモンゴルビジネスの魅力、今後の期待など現場に根差した情報を紹介した。

写真 山本覚代表取締役社長の講演(ジェトロ撮影)

山本覚代表取締役社長の講演(ジェトロ撮影)

山本代表取締役社長はモンゴルでビジネスを始めたきっかけとして、「数学をはじめとするモンゴルのSTEM(注)教育レベルや語学力の高さ、モンゴルの人々の愛国心の強さ」に言及。事業については「モンゴルの開発拠点である電通データアーティストモンゴル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、電通グループにおける多くのAI(人工知能)事例について開発・実装している」と述べ、AIによるサッカーの試合の勝敗予測サービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや味覚設計プロセスなどの事例を紹介した。今後について山本代表取締役社長は「20234月には当社と電通デジタルが統合する。国内外の電通グループ企業のネットワークを活用し、グローバルなビジネスを展開し、アジア初・世界最高のAI企業を作りたい」と述べた。

写真 來留島恒司最高経営責任者の講演(ジェトロ撮影)

來留島恒司最高経営責任者の講演(ジェトロ撮影)

來留島CEOは、主力となる携帯電話事業のほか、エンタープライズソリューションや、フィンテック、メディアコンテンツ事業、2019年に開始したスタートアップ支援事業を紹介。來留島CEOは「モンゴルは新しい技術に関する感度が高く、モンゴル人の理系スキルは非常に高い」と言及。今後について來留島CEOは「2023年早々にモンゴルでも5G(第5世代移動通信システム)が展開される予定で、ますますスタートアップ企業の熱意も増してくるだろう。自分たちだけが成長するのではなく、産業全体で成長し、ITを盛り上げていきたい」と述べた。

写真 バータルホ・ホスエルディン最高経営責任者の講演(ジェトロ撮影)

バータルホ・ホスエルディン最高経営責任者の講演(ジェトロ撮影)

ホスエルディンCEOは自社紹介に加えて、日本とモンゴルの民間技術協力の戦略的パートナーシップとその意義について言及。ホスエルディンCEOは「2020年以降、丸紅やSBIホールディングスに代表される国内外の大手企業と戦略的パートナーシップを締結してきた。互いの長所を組み合わせ、対等な立場で社会的な価値をともに創造する部分で、戦略的パートナーシップは通常の投資とは異なる」と述べた一方で、スタートアップと大企業のコラボレーションという観点から、日本的な考え方と欧米的な考え方に大きな違いがあるとも指摘。ホスエルディンCEOは「高付加価値ソリューションを生み出そうとするマインドセットや意思決定の仕方・ビジネスのビジョンへの共感度などを変えていかなければ、イノベーションのフィールドでは戦わずにして負ける結果となり得る」と述べた。

(注)STEMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を指す。

(嶋亜弥子)

(モンゴル、日本)

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