外国投資家評議会(FIC)、「投資環境白書2022」を発表

(セルビア)

ウィーン発

2022年12月06日

2002年に創設され、2022年で20周年を迎えるセルビアの「外国投資家評議会(以下FIC)」は1122日、セルビア政府に対し投資環境の改善を提言する「投資環境白書2022PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の報告会を行った。FICは、在セルビアの外資系大手企業が加盟しており、会員数は21の事業分野で116社、会員企業による投資総額は360億ユーロ以上、10万人以上が雇用されているセルビア最大の経済団体だ。

なお、2021年までの報告会は、FIC、セルビア政府関係者、メンバー企業と団体、およびマスコミ関係者などが参加し開催されていたが、FIC関係者によると、2022年は新内閣が発足して日が浅いことなどから、FICとセルビア政府の間での報告会となった。

同報告会のあいさつでマイケル・ミッシェルFIC会長(兼イェテルCEO)は、FIC20年間にわたり予測可能で競争力のある持続可能なビジネス環境を積極的に提唱し発展させてきており、白書はFICの最大の成果だと述べた。また、「セルビアが経済的・地政学的な状況ゆえに直面している課題をわれわれは十分に認識している。セルビア経済は、EUの経済動向に依存しているため、セルビアの新型コロナウイルスからの回復は2022年第1四半期にウクライナ侵攻によって中断された。セルビアは欧州市場に高度に統合されているが、制度的にはEUに属していない。だからこそ、われわれの全ての具体的な提案や活動は、国内法とEU法の調和を目指している」と述べた。

FIC2022年白書の提言事項として、セルビアのEU加盟交渉の強化が重要な優先事項だとした。また、国内規制を欧州基準に調和させること、インフレ率を目標値内に戻すこと、インフラ企業の再編を完了させること、財政負担と公共支出を最適化し国の公的債務の増大を防ぐことが必要だとした。

また、202111月から202210月までの期間の達成状況に関して、最もパフォーマンスが高かった分野は前年と同じくデジタル化と電子商取引(EC)で、エネルギー分野での規制改善が認められたとした。通信と不正取引防止は緩やかに進展しているが、労働と保険は前年に比べ進展がみられなかったとした。

新内閣メンバーとともに報告会に出席したアナ・ブルナビッチ首相は、FICの評価は最終的にセルビアにとってポジティブなものだが、より多く、より迅速に行うことは常に可能だとし、FICの白書にある提言の大部分は、セルビアが進むべき方向性と同じビジョンを持っている、と述べた。また、セルビアの対内直接投資に関して2021年は記録的な年だったが、2022年は10月までに311,000万ユーロの投資(ネット)があり、これは前年同期を0.3%上回っている、とも述べた。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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