2021年のアフリカの海上貿易、前年比5.6%増

(アフリカ、南アフリカ共和国、ナイジェリア、カメルーン、エジプト、モロッコ)

中東アフリカ課

2022年12月14日

国連貿易開発会議(UNCTAD)は1129日、最新の海運について報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

それによると、2021年のアフリカの海上貿易は積荷・揚荷を含めて13億トンとなり、2020年比で5.6%増えた。アフリカ大陸の積荷は全世界の6.9%、揚荷は同5%を占めた。また、世界全体のコンテナ貿易で、サブサハラアフリカ・中南米間などの「南・南貿易」は12.5%を占め、アフリカ・欧州間などの「北・南貿易」は7.8%だった。

海上運賃については、特にスポット運賃が急騰した。202012月から202112月にかけて、上海・南アフリカ共和国(ダーバン)ルートは20フィートコンテナ換算(TEU)当たりの運賃が2,521ドルから6,450ドルへ、上海・西アフリカ(ナイジェリア・ラゴス)ルートでは5,291ドルから7,452ドルへ上昇した。船会社が収益性のより高い航路に集中するため、小規模な航路のアフリカルートを縮小し、20207月から20217月の間に平均船腹量が6.5%減少した結果、コンテナ運賃の上昇につながった。中国からアフリカへの片道運賃はTEU当たり2,0002,500ドルから4,0005,000ドル、アジアからカメルーンへは20フィートコンテナで4.4倍、40フィートコンテナで3.4倍の上昇となった。

コンテナ船の寄港について、サブサハラアフリカでは激減した。原因として、船舶の遅延やコンテナ不足、新型コロナ禍の行動制限による労働力の制約などの影響を受け、主要な航路の港湾が混雑したことが挙げられる。また、東アジアや北米への航路を確保するため、アフリカへの航路を縮小する動きもあった。他方で、北アフリカでは、20213月にスエズ運河が6日間封鎖されたものの、開発・改良が進んでいるモロッコのタンジェMED港やエジプトのアイン・ソフナ港などに支えられ、コンテナ船の寄港が安定的に増加した。2019年から2021年にかけて、タンジェMED港でのコンテナ船寄港数は2,652回から3,195回、アイン・ソフナ港では59回から217回へ増加した。なお、域内最大級の港のエジプトのポートサイドへの寄港回数は3,516回から3,393回に減少している。

船隊・船舶の保有について、202211日時点で、載貨重量トン数ベースと商業価値ベースでリベリア船籍が世界で2番目に多いものの、アフリカ全体の船隊・船舶所有は限定的で、ほとんどを外国船籍に頼っている。今後も環境規制の厳格化と競争の激化が見込まれ、アフリカの船舶所有は難しい可能性が高い。南アフリカ共和国やエジプト、モロッコなど、交通インフラが整備されて代替エネルギーの供給が可能な国では、環境に優しい船舶への燃料補給を計画している。

(天神和泉)

(アフリカ、南アフリカ共和国、ナイジェリア、カメルーン、エジプト、モロッコ)

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