新型コロナ禍で輸出拡大するアストラのデジタル戦略

(日本、世界)

福島発

2022年12月19日

ジェトロは125日、セミナー「ポストコロナ時代の海外ビジネス」を福島県郡山市で開催した。中小企業の多くがリアルとデジタルを活用した戦略的な海外展開のあり方を模索する中、福島市で果物の皮むき機を製造販売するアストラ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの竹下遼国際営業部長が登壇し、自社のデジタルマーケティング手法の取り組みを県内企業に向け紹介した。

写真 講演する竹下氏(ジェトロ撮影)

講演する竹下氏(ジェトロ撮影)

アストラが扱うのは業務用の果物皮むき機という、ニッチだが世界各国で共通してニーズが高い商材だ。新型コロナウイルス感染が急拡大した20204月から、担当者1人で海外販売を本格開始した。新型コロナ禍でも輸出は拡大し、輸出先はアジアや欧州、北米、中南米、アフリカなどの地域で47カ国、契約代理店も20社に上る。同社はオンラインツールを活用し、順調に売り上げを伸ばしており、2022年度は海外売上比率が50%近くに達した。

アストラのビジネスは主にBtoB向けで、かつターゲット顧客が絞られている。そのため、デジタルマーケティング手法としては、ウェブサイトや商品カタログなどの英語コンテンツを作成したほか、果物関連や加工機械関連の専門媒体に広告を掲載した。また、海外展開の取り組みの一環として、ジェトロのBtoBプラットフォームの出展支援のうち、全世界向けの幅広い製品の取り扱いが特徴の「Alibaba.com」と、欧州向けの製造業に特化した「Virtual Expo」を利用した。

アストラはプラットフォームを通じた販売だけでなく、ウェブサイトへの流入キーワードを測定して別媒体に流用することや、ウェブサイトから得られる顧客情報を基にしたプッシュ型営業も行っている。さまざまな試みのうち、6割近くは失敗、2割が成功、残り2割が可もなく不可もない結果になったという。

竹下氏は、オンラインツールの活用によってビジネスのスピード感が高まると、マーケティング手法導入後の効果測定が重要になることを強調した。また「高い精度が見込まれなくても、まずは行動してみて試行錯誤を重ねることが大切」との認識を示した。

参加者からは、実践した各種マーケティング施策の中の具体的な成功例が示されており、自社でも実践したいというコメントが多く寄せられた。

(大野真奈)

(日本、世界)

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