中国、半導体輸出管理措置に関して米国をWTOに提訴

(中国、米国)

北京発

2022年12月16日

中国商務部は12月12日、米国が実施している中国向け半導体などの製品の輸出管理措置(2022年10月11日記事参照)について、WTOに提訴したと発表した。発表によると、商務部担当者は、米国が近年絶えず国家安全保障の概念を一般化し、輸出管理措置を乱用することにより、半導体などの製品の正常な国際貿易を阻害し、世界の産業チェーンやサプライチェーンの安定を脅かし、国際経済貿易の秩序を破壊し、国際経済貿易のルールに違反し、基本的な経済ルールに背き、世界の平和と発展の利益を損なっており、典型的な貿易保護主義のやり方だと批判した。その上で、中国がWTOに提訴したのは、中国側の関心事項を法的手段によって解決し、中国の合法的権益を守るために必要なやり方と主張した。また、米国に対しては、ゼロサムゲーム的な思考を捨て、誤ったやり方をすみやかに改め、半導体などハイテク製品の貿易をかく乱することをやめ、中米間の正常な経済貿易取引を維持し、世界の半導体などの重要な産業チェーンやサプライチェーンの安定を維持するよう求めた。

今回の件に関して、外交部の汪文斌報道官は12月13日、WTOパネルが12月9日(現地時間)に米国の鉄鋼とアルミニウムへの追加関税措置についてWTO規則に違反すると裁定し、米国がWTOの安全保障例外条項を引用して行った抗弁を棄却したことを挙げ、安全保障例外条項が自国第一主義や保護主義の「セーフハーバー」でないことは事実が証明していると指摘した。

復旦大学米国研究センターの宋国友副主任は、今回の中国の提訴によって、米国による封じ込めの効果をある程度減殺できるほか、世界の貿易紛争を解決する重要な裁決機関としてのWTOを支持するという中国の立場を示す意味もあると解説している(「環球時報」12月14日)。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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