2022年の経済は堅調な内需拡大で高い成長を維持

(コートジボワール)

アビジャン発

2022年12月28日

コートジボワールでは、新型コロナウイルスへの対処の「ウィズコロナ」による経済活動の再開に伴って、消費の回復と投資の拡大による内需の下支えを受け、2022年の実質GDP成長率は6.8%の見込み。前年の7.4%に比べて減速したが、アフリカ地域でトップレベルの成長率だ。2023年以降も中期的に7%台の高い成長を維持する見通しだ。

新型コロナ禍で冷え込んでいた個人消費は、雇用・所得環境の改善により、2021年8.3%、2022年4.7%と持ち直したが、ロシアのウクライナ侵攻の影響によるインフレ高進で回復ベースが減速。投資は、企業の設備投資や建設投資のほか、鉱物資源開発を中心に国外からの直接投資も増えている。一方、世界的なコモディティー価格高騰による企業コストの大幅な上昇は企業収益を圧迫しており、国際経済の減速やインフレに伴う国内経済への下振れリスクなど、新型コロナ禍に代わる先行きの不確実性も生じている。インフレ率は2022年通年で4.5%の見込みだ。西アフリカ諸国中央銀行は、物価の上振れリスクを抑制するため、2022年に入って3度の政策金利の引き上げを行った。

国の財政収支は、新型コロナウイルス対策や、ウクライナ問題の影響によるインフレ対策で、財政・金融政策が積極的に発動されたため悪化した。西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)地域は、財政赤字をGDP比3%以内に抑える財政規律ルールを設けているが、コートジボワールは2020年、2021年に続き、2022年も財政赤字が5%を超える見込みだ。

生産活動は堅調な内需を反映し、製造業、建設、エネルギー、電気通信、運輸、小売り流通部門とも、全般に好調だ。一方、最大の輸出産品のカカオ豆の生産については、持続可能なカカオ産業に向けた森林伐採の規制や、管理体制の強化に加えて、天候不順などの要因で減少したことが響き、農業部門は不調に終わった。製造業では、世界的なサプライチェーンの混乱やコスト高騰により原材料の調達に悩む企業も多い中、行動制限が解除されたことで、人の移動が回復するとともに企業活動も活発化した。それに伴って、サービス部門も好調に推移した。地域のエネルギーハブとしての役割を担う電力部門は、旺盛な需要に対応するため、再生可能エネルギーの比率向上に取り組んでおり、アフリカ最大のバイオマス発電プロジェクトも進めている。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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