中国・オーストラリア外相が会談、6分野での対話の始動・再開に合意

(中国、オーストラリア)

北京発

2022年12月28日

中国の王毅国務委員兼外交部長(中国共産党中央政治局委員)は12月21日、中国を訪問したオーストラリアのペニー・ウォン外相と北京市で会談した。

王外相は、中豪関係は過去数年間困難と挫折に見舞われてきた(注1)が、これは見たくなかったことであり、その教訓を十分に学ぶ必要があると指摘した。また、オーストラリアの新政権が両国関係の改善と発展について積極的な意欲を度々示したことを高く評価し、双方が両国の指導者の重要な共通認識(注2)を共同で実施し、両国の国交50周年を契機として、初心に帰り、針路を定め、装備を整えて再出発し、両国関係のさらなる改善と持続可能な発展を推進していくとした。

中国外交部の発表によると、会談後、両国は中国オーストラリア外交戦略対話の成果に関する共同声明を発表した。声明によれば、両国は中豪関係が全面的戦略パートナーシップの位置付けを与えられるべきであり、その基礎の上で相互に尊重し、平等互恵を図り、対立をコントロールしていくことに合意したとしている。

また、両国はハイレベルの往来を保ち、以下の6つの分野において対話とコミュニケーションを開始または再開することや、トラック1.5のハイレベル対話を含む両国間の人文交流、中豪ビジネス界のCEOラウンドテーブル、両国のビジネスミッションの相互訪問にも合意したとしている。

  1. 両国関係
  2. 経済貿易問題
  3. 領事業務
  4. 気候変動
  5. 防衛
  6. 地域および国際の問題

中豪関係を巡っては、中国が2020年以降、オーストラリア産のワインについてアンチダンピングや補助金相殺関税に関する調査を開始し、オーストラリアが上記措置についてWTOに提訴するなどの経緯があったほか、2020年5月に相次いで出された決定により、オーストラリア産大麦についてもアンチダンピング関税と補助金相殺関税が課されている。このほか、オーストラリア産石炭などの製品について、中国が輸入を一時停止した、などの報道もなされていた。今後、こうした各種経済貿易措置について改善や進展がみられるか注目される。

(注1)外交部の謝鋒副部長は、今回の外相会談に関するメディア向けブリーフィングにおいて、過去数年間に中豪関係が遭遇した困難や挫折の原因は、豪州の保守連合政権による一連の誤った対中政策にある、との認識を示した。

(注2)習近平国家主席とオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は11月15日、インドネシアのバリ島で首脳会談を行っていた。

(小宮昇平)

(中国、オーストラリア)

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